このコラムについて
小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?
と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。
「ホワイト企業の次を考える必要があるという小さなブルーオーシャン」
私は10年以上前から、
「人間学」という学問に
ハマっています。
人間学とは、
人の行動や考えに至る
「動機」や「欲動」、「情動」
はなにか?を知るということですが、
このきっかけは、
「社員はなぜ辞めるんだろう?」
というところからでした。
この「会社を辞める」ということに
変化があるということをご存知でしょうか?
「ホワイト企業」だから辞める
働き方改革や若手人材の不足。
こうした背景から多くの企業は
「努力」を重ね、いわゆる
「ホワイト企業」化していきました。
雑な言い方をすれば、
働きやすく、上司も優しい企業が
増えたということです。
しかし、しかし、その一方で
職場や仕事が「ゆるすぎる」
「ここにいたら成長できない」と
危機感を感じて辞めていく
若者が増えていると言います。
会社を嫌いなわけではない。でも辞める。
以前行われた調査で、
男性が辞めた理由の1位と2位は
1年以内の場合、
「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかったため」(31.2%)、
「肉体的・精神的に健康を損ねたため」(29.7%)。
1年超3年以内の場合、
「賃金の条件がよくなかったため」(28.5%)、
「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかったため」(28.0%)
でした。
女性の場合は、
「人間関係がよくなかったため」(39.4%)、
「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかったため」(38.1%)
1年超3年以内の場合、
「肉体的・精神的に健康を損ねたため」(28.6%)、
「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかったため」(27.4%)
つまりこれまでの辞める理由はどちらかというと
ブラックな状況を想像させるものでした。
多くの企業はこの問題を対処し、
働きやすい環境を整備していったわけです。
ところが、若者は辞めていく。
実は、今の職場を「ゆるい」と感じている若者は57.2%で、
「ゆるくない」と感じている若者(52.9%)
より多いというデータがあります。
さらに調べてみると、この若者たちは、
その会社を嫌いなわけではない。
むしろ、会社への評価は高い。
しかし「このままでは成長できない」という不安も、
他に比べて強く感じているというのです。
この調査は大企業の若者が対象ですが、
大企業に入ったからといって、
将来を楽観視できないのが
今の時代の若者たちなのです。
これからはどうすればいいのか?
直近の日本企業は、心理的安全性どころか、
マズローの欲求5段階説でいうところの
生理的欲求や安全欲求すら
満たされない職場が多かったのです。
ところが、世の中全体で働き方改革が進み、
人材不足やパワハラ防止法の制定などもあって
「若手に優しく」という意識が高まりました。
その結果、特に大企業では「心理的安全性」が
高まったものの、違った不安が出てきたということです。
では、中小企業も含め、
今後、企業はどうすればいいのでしょうか?
1. 若者の視点を理解する
「ホワイト離職」の背後には、
若者たちの成長への不安や希望があります。
これに真摯に向き合うことが大切です。
ところが昔は出来ていた
「飲みニケーション」ができません。
若者の志向や価値観を理解するためにも
「キャリアコンサルティング」など
外部に頼む必要があります。
2. 成長の見通しを提供する
若手社員に対して、
現在の仕事の意義や
将来のキャリアパスについて
明確に伝えることが重要です。
徐々に増えつつある
「キャリア研修」が重要に
なってきそうです。
3. 適切な挑戦を提供する
あまりにも「ゆるすぎる」状態では、
若者たちの成長が阻害されてしまいます。
適切な挑戦や成長に繋がる仕事を
提供することで、彼らが自身の能力を
発揮できる機会を提供しましょう。
ただし、適度なサポートも大切です。
私が会社員時代に言われたこと。
「能力の120%ほどの目標を与えること」
これは今でもお客さんに伝えています。
4. 心理的安全性を築く
若手社員が本音を言える関係性を
築くことは重要ですが、
その前に心理的安全性を高める取り組みを
行なうことが必要です。
ワークショップや研修を通じて、
社員の性格や心の状態を理解し、
信頼関係を築いていきましょう。
5. 中小企業の強みを活かす
大企業と比較して中小企業は、
柔軟な組織文化や直接的な
やり取りが可能です。
これらの強みを活かして、
若手社員との密なやり取りを図り、
彼らの声を反映させる環境を整えましょう。
6. 個別のニーズに寄り添う
若手社員は一様ではなく、
それぞれ異なるニーズや希望を持っています。
個別のキャリアプランを作成し、
彼らの成長を個別にサポートすることが大切です。
進路相談やスキルアップの機会を提供することで、
彼らのモチベーションを高めましょう。
今回はホワイト企業であっても、
若者が辞めていくという話をしました。
これらのデータは大企業のことが多いです。
中小企業は、大企業のマネをする
傾向がありますが、
大企業のやり方を反面教師として、
「小さなブルーオーシャン」化することが
大事だと思います。
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参考・出典
労働政策研究・研修機構「第2回若年者の能力開発と職場への定着に関する調査」
リクルートワークス研究所「職場が「ゆる」くて、辞めたくなる」
日本経済新聞(2022年12月15日)「職場がホワイトすぎて辞めたい 若手、成長できず失望」
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