第18回 個人発注が増える理由は「コスト」と「信頼感」

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第18回 個人への発注が増える理由は「コスト」と「信頼感」

安田
前回は「プロ人材に依頼した方がいい業務」をいくつかご紹介いただきましたけど。今日は「企業と個人の違い」について聞いていきたいと思います。

渡邉
わかりました。
安田
企業と個人の違いって私は二つあると思うんですよ。一つは、企業に発注すると「誰が担当するかわからない」。

渡邉

確かに。企業は組織で動くものですから、営業と実際のサービス担当は別の人、というのが当たり前だったりします。だから、営業がすごく優秀でも、サービス担当が同じくらい優秀だとは限らない。

安田
ええ。むしろ優秀なサービス担当はたくさんの仕事を抱えているわけで、なかなか受けてもらえないと。もう一つの違いはやっぱりコスト面ですよね。

渡邉
ええ、そこが一番の違いでしょうね。先週も話に出ましたけれど。
安田
ええ。会社経営の世界では、よく「社員には給料の3倍は売らせろ」なんて言われますけど。つまり社員に払っている給与の3倍は売ってもらわないと経営が成り立たないんだと。

渡邉
まぁ、実際その通りなんですよね。会社経営にはいろいろと経費がかかりますから。
安田
ですよね。つまり企業というのは、組織を継続するために高く売らざるを得ない。一方、個人事業主はそんなことはないわけで。

渡邉
そうそう。でもそうなってくると、そもそも企業に頼む理由はどこにあるんだ、って話になってきますよね。結局「信用」くらいなのかもしれません。
安田
そうですね。会社として最後まで責任は持ってくれますからね。担当者が病気になったり急に辞めちゃったりしても、別の社員を立てるなどして対応してくれるし。

渡邉
確かにそういう安心感はありますね。でも、かといって個人なら責任取らずに逃げられるか、と言ったらまったくそうじゃない。業務委託の契約を結ぶわけですから、むしろ病気になっても頑張らなきゃいけないし、まして「辛いので辞めます」じゃ終われない(笑)。
安田
そうですね(笑)。そう考えると「信用」という意味でも企業の方が高リスクかもしれませんね。急な退職だけじゃなく、時期的な人事異動もあるわけで。
渡邉
仰るとおりですね。それに、先週も出ましたけど、企業に頼んだつもりがその実どこかのフリーに下請けで出されていた、というケースも往々にしてあるわけで。
安田
「この会社なら大丈夫だ」と依頼したのに、実際はただ「中抜き」をしていただけだったと。

渡邉
そうそう。それなら最初から個人に直接発注した方がずっと安くすみますし、直接指示もできる分やりやすいですよね。
安田
そうですよね。特に個人のスキルによってクオリティが変わるような仕事は、「中抜き企業」を介さず依頼するのが当たり前になってくると思います。

渡邉
そうなると、「人材を働かすこと」で利益を上げていた企業は成り立たなくなりますよね。人材紹介業とか。
安田

今後は厳しいんじゃないですかね。でも、「優秀なフリーランスを見つけるお手伝い」はありだと思います。まさにランリグさんが「その道のプロ」事業でやってるような。


渡邉
良かったです(笑)。とはいえ、人材紹介とフリーランスとのマッチング業って、少し性格が異なるんですよね。マッチングして終わり、ではなく、優秀なプロ人材をどう定着させるか、という部分の方が大事になるので。
安田
ああ、なるほど。レベルの高いプロ人材だからこそ、仕事の質や報酬にもこだわるでしょうしね。企業側とすれば、「お客様は神様です」じゃなく「プロ人材様が神様です」というような(笑)。
渡邉
そうですね(笑)。弊社でもプロ人材にはできるだけスペシャルな扱いをするようにしています。マッサージ機付きの事務所を使えるようにしたりとか(笑)。
安田
大事ですね(笑)。肩を揉んでくれたり、美味しいコーヒーを入れてくれたり(笑)。心地よく仕事ができる「居場所」としての企業が求められている気がします。

渡邉
そうなんです。彼らはどこに行っても稼げるわけで、そういう人に「選ばれる」企業であることが重要ですね。それが嫌なら、彼らのようなスペシャリストがいなくても利益が出せる「仕組み」を作るしかない。
安田
まあ、すべての会社がそういう仕組みを作れるわけじゃないですから。そういう意味でも、個人に直接発注する企業は増えていくでしょうね。

渡邉
それによってマーケットは変化すると思いますか?
安田
そうですね。個人に発注する仕事が増えることで、マーケットが細分化していくと思います。

渡邉
ははぁ、なるほど。「採用について丸ごとコンサルしてもらう」というものが、「このプロ人材には新卒採用のエントリー獲得だけ任せる」みたいな。
安田
そうそう。「飲食店に特化したスカウティング代行」みたいに、業務じゃなく業界で分ける形もありそうです。

渡邉
なるほどなぁ。営業職も似たような部分がありますね。弊社の「その道のプロ」事業にも営業のプロ人材に多数登録してもらっていますが、経営者向けか担当者向けか、BtoCかBtoBか、無形商材か有形商材か、というように、担当分野をかなり細分化しています。
安田
そうでしょうねえ。それが個人の強みだと思います。そういう渡邉さんも「住宅業界の経営者向けの営業」という分野では、かなりのプロ人材ですよね。
渡邉
笑。それで言うと、ちょうど最近自分を商品化したところで。
安田

ああ、いいですね。それは売れるんじゃないですか?

渡邉
おかげさまで、何社か売れました(笑)。「渡邉さんにお願いしたら、営業マン1人雇うより10倍ぐらい売上を上げるネタを取ってきてくれるから、人件費一人分くらいだったら全然安い」って言っていただけて。
安田
笑。経営者じゃなく、フリーになった方が儲かるんじゃないですか。
渡邉
10社くらい担当させてもらったら結構な報酬額になりますね。「社長が動けなくなるのは困るのでやめてください」って社員には止められてるんですけど。
安田
そりゃそうでしょうね(笑)。

 


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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