【vol.282】航空業界のトレンドや近未来(サステナビリティ)

GlobalPicks 〜海外の情報を読み解いて、ビジネスに付加価値を投薬する方法〜 著者:小出 紘道


先週に引き続き「航空業界のトレンドや近未来」についての記事を読んでみたいと思います。
「Future Travel Experience(未来の旅行体験)」という名前のサイトの記事です。

今回の記事はコレ

10 technology trends that can enhance airline and airport operations in 2023
(2023年、航空会社と空港のオペレーションを強化する10のテクノロジートレンド)
(https://www.futuretravelexperience.com/2023/01/10-tech-trends-that-will-shape-passenger-experiences-and-business-performance-in-2023/)

10個のテクノロジートレンドは下記の通りです。

1.Automation and robotics
2.Artificial Intelligence and Machine Learning
3.Metaverse, digital twin and NFT
4.Personalisation
5.New approaches to retailing
6.Urban Air Mobility
7.Biometrics and digital identity
8.Private Networks
9.Return to collaboration with startups
10.Sustainability

 

今週は最後の項目「10.Sustainability」に移ります。

10.Sustainability
(サステナビリティ)

A common theme throughout the majority of innovation projects taking place across air transport is sustainability, which remains a key priority following the global industry’s commitment to reaching net zero carbon emissions by 2050.

2050年までに炭素排出量を正味ゼロにするという世界的な航空業界の公約を受けて、航空輸送全体で行われているイノベーション・プロジェクトの大半に共通するテーマは「持続可能性」である。

航空業界が国際的にコミットしている「2050年のNet Zero」を目指して、業界全体がsustainability(持続可能性)を模索している、という話ですね。

Air New Zealand recently announced four innovators it will be working with on its mission to have its first zero emissions demonstrator flight take to the skies from 2026

ニュージーランド航空は、2026年に初のゼロ・エミッション実証飛行の実施に向け、各社と協力することを発表した。

Sustainabilityのトップランナーとして事例があがっているのが、ニュージーランド航空です。
ちなみに、ニュージーランド航空は世界の航空会社ランキングでも上位の常連のようです。
※2023年の1位はシンガポール航空

ニュージーランド航空は、早くも2026年にゼロ・エミッション飛行を予定しているとのことなので、随分と前倒して取り組んでいるようです。

Another interesting project is the new Hydrogen Aviation Lab that has opened at Hamburg Airport in a decommissioned Airbus A320. The project is a joint initiative between Lufthansa Technik, the German Aerospace Center (DLR), the ZAL Center for Applied Aeronautical Research and Hamburg Airport, and is funded by Hamburg’s Ministry of Economic Affairs and Innovation as well as the city’s investment and development bank (IFB Hamburg). Over the next few months, the Hydrogen Aviation Lab will be fitted with a full suite of test systems, as well as an internal tank for liquid hydrogen and an onboard fuel cell, paired with supporting ground-based hydrogen infrastructure.

もうひとつの興味深いプロジェクトは、廃車になったエアバスA320を利用してハンブルク空港に開設された新しい水素航空ラボである。このプロジェクトは、ルフトハンザ テクニク、ドイツ航空宇宙センター(DLR)、ZAL応用航空研究センター、ハンブルク空港の共同事業であり、ハンブルク経済・革新省とハンブルク市の投資開発銀行(IFBハンブルク)が資金提供している。今後数ヶ月の間に、水素アビエーション・ラボは、試験システム一式、液体水素用内部タンク、燃料電池を搭載し、地上の水素インフラをサポートする。

別のSustainablity系の事例として出ていたのが、ドイツのハンブルグ空港で行われている、市とルフトハンザ航空と空港の合同プロジェクトの事例です。
引退したエアバス機を使って、水素を燃料とした飛行を目指して実験しているようで、これは、ハンブルグ市の投資銀行も巻き込んだ大きな動きになっているようです。

ニュージーランド航空にしても、ルフトハンザ航空にしても、Sustainablity系の事例としてよく取り上げられているのを見かけます。日系のJALやANAの事例もよく見かけます。

しかし事実として、国際的なレポート(指標)である「2023 Global 100 most sustainable companies(サステナビリティ企業トップ100)」の中に航空産業系の企業は1社もランクインしていない(そもそも輸送系がランクインしていない)ことが表しているように、航空産業系の会社は、実際は持続可能性が「それほど高くない」ということが周知の事実ということでしょうね。。。
 

著者の他の記事を見る


「本コラムと、本業ビジネスとの関係」(著者・小出紘道より)

本業ビジネスでは「マーケティング&戦略コンサル」の仕事と、「高付加価値情報提供サービス」の仕事をしています。本コラムは後者の「高付加価値情報提供サービス」の初級編としての入り口となればいいな、と思ってます。世界の誰かが”既にかなり研究したり、結論を出している”にも関わらず”日本では流通していない数値情報や文字情報”がたくさんあります。それらの情報を、日本のマーケットにフィットするように編集・分析すれば「競合他社」や「競合他者」を出し抜ける可能性が高まります。法人向けのサービスとなっていますので、詳細はFace to Faceでお伝えしますね。

著者情報


小出紘道 (HIROMICHI KOIDE)
◆株式会社シタシオン ストラテジックパートナーズ 代表取締役社長 http://citation-sp.co.jp
◆株式会社シタシオンジャパン 取締役会長 http://www.citation.co.jp
◆株式会社 イー・ファルコン 取締役 http://www.e-falcon.co.jp
<いわゆる経歴>
・2000年 株式会社東京個別指導学院に新卒で入社して、11ヶ月だけ働いてみた(→早めに飽きた) ・2001年 イギリスに行って、University of Londonで経済と国際関係を学んだり、Heriot-Watt Universityで経営学(MBA)をやってみた(→めちゃくちゃ勉強した)。この間に、イギリス人の友人とロンドンで会社を作ってみた(→イマイチだった) ・2003年 シタシオンジャパン社でマーケティングをやり始めてみた(→ろくにエクセルも使えなかった) ・2007年 シタシオンジャパン社の代表取締役社長になって経営をやってみた(→やってみてよかった) ・2018年 シタシオンジャパン社の社長を仲間に託し、引き続き会長としてコミットしつつも、シタシオンストラテジックパートナーズ社を設立してみた(→今ここ)
著者ページへ

感想・著者への質問はこちらから