この対談について
庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
安田
自分がマンション暮らしということもあって、ベランダに庭が作れたらいいなぁと思うことがあります。現実的に、ベランダや屋上に庭を作ることはできるんでしょうか?
安田
へぇ、作れるんですね。でも、庭園というからには木を植えたりもするわけですよね。どうやるんですか? 屋上やベランダに土を大量に入れたら後が大変そうですけど。
中島
まずベランダや屋上に厚さ10㎝くらいの緑化マットを敷いて、その上に木を植えるんです。ちょうど1年ほど前、緑化マットの上に植えた木が今は2mを超えるほどに成長しています。
安田
2mですか! それはすごい。でもそんなに大きいと、屋上ならともかくベランダには不適当ですよね。てっぺんが天井に付いてしまいそう。
中島
もちろん場所によって樹種を選びますし、大きくなり過ぎないよう調整もします。緑化マットを連結させなければ根が広がっていかないので。
安田
ああ、なるほど。それで大きさを調整できると。ちなみに緑化マットはどのくらいの大きさなんですか?
中島
大きいものでも50㎠程度ですね。それだけのサイズで大きな木も植えられると聞いて、最初は驚きました。しかも連結部分は結束バンドだけ。すごくシンプルな造りです。
安田
えっ、それだけですか?
中島
そうなんです。シンプルながらしっかり固定されているので耐久性も問題ありません。今後は駅の屋上工事にも使われることになったと聞いています。土地の足りない東京、神奈川あたりで特に需要があるようです。
安田
確かにそれは納得です。私の住んでいる都内のマンションでも、屋上に庭のようなものを作っている所がすごく多いですから。でもけっこう手入れが大変なのか、雑草だらけになっているところも目立ちます。
中島
屋上やベランダにも当然、手入れは必要なので。そういう意味では、やはり「なるべく手間がかからないような庭」にした方がいいとは思いますね。例えば、緑化マットの上に防草シートを敷いて、さらにその上から砂利を撒くと、雑草も生えにくくなります。
安田
へぇ、なるほど。ちなみに、屋上やベランダに作る庭と通常の庭と、何か違うところはあるんですか?
中島
一番大きな違いは、重量を考えないといけないということですね。普通の庭と同じように設計すると、特にベランダはまず重量オーバーになります。
安田
そうでしょうね。土だけでもかなりの重さになりますもんね。だからこそ軽い緑化マットなどを活用すると。
中島
仰るとおりです。本当にすごい技術が出てきたなと思います。
安田
ということは、緑化マットを使えば、私がベランダで育てている桜の植木ももっと大きくできるということですよね。
中島
そうですね(笑)。幹の太さが30㎝くらいまでの木なら育てられます。桜やもみじを屋上やベランダに植えて、花見や紅葉狩りを楽しむこともできるんじゃないでしょうか。
安田
それは楽しそうですね! でもdirect nagomiさんの施工事例を見ていると、桜やもみじをお庭に植えていることは少ない気がします。
中島
ええ。どちらも季節感があって綺麗な木なんですけど、育った時に一般の住宅ではスケール感が合わなくなってしまうんですよね。
安田
ふーむ、大きくなりすぎてしまうというわけですか。
中島
ええ。ですからそれらに近い種類で、そこまで大きくならないものを植えることが多いですね。例えばもみじをご希望であれば、コハウチワカエデという種類に変えます。伸びる速度はアオダモやナツハゼに比べると早いんですが、もみじの中では一番緩やかなので。
安田
コハウチワカエデもちゃんと紅葉をするんですか?
中島
それはもう真っ赤に色づきますし、切り込みが浅くて「上品なもみじ」という印象になります。
安田
中島
オカメザクラなどは大きくなりにくいですし、小さくて綺麗な花がたくさん咲くのでいいと思います。あとは湖上の舞という比較的成長の遅い桜もありますが、桜自体が他の樹種に比べて成長が早めなので、その点はちょっと注意が必要ですけれど。
安田
なるほど。木を選ぶ時は成長スピードも気にしないといけないんですね。
中島
ええ。どの木も3年間は比較的おとなしいんです。でもその3年間でしっかり根を張った後の勢いがすごくて。
安田
なるほど。3年くらいのんびり花見を楽しんでいたら、その後えらいことになるわけですね(笑)。
対談している二人

中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
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高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
