庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第23回 事務所こそ「庭付き一戸建て」の時代
そうですね。以前大工さんの事務所のお庭を作らせていただいたこともあります。外構部分を含めて、建物の周りをほとんどやらせていただきました。
へぇ! 大工さんからお庭作りを依頼されるって、なんだかすごいですね。ちなみにこれは住宅兼事務所ではなく、完全に事務所用途の建物なんですか?
ええ、工務店の事務所です。ただ、モデルハウスの役割も兼ねて建てられたようなので、確かに一見すると住宅のようですよね。
ああ、そういうことなんですね。それにしても、こんなお庭のある事務所だったら、仕事に行くたびに癒されそうですね(笑)。これからはもうビルの一室で仕事をするという時代でもないですし、こういう素敵な環境で働くのもいいなぁ。
本当にそうですよね。お庭を眺めながらお仕事をするって、すごく素敵です。まぁ、都心部ではなかなか難しいかもしれませんけれど。
ああ、いいですねぇ。作らせていただけるならぜひやってみたいです。自然を取り入れた温かみのある雰囲気で作れたらいいなぁ。
本当ですね。学校や病院って、どちらかというと無機質なイメージじゃないですか。四角いコンクリートに窓が付いているだけ、というような。まるで「殺風景にしなければいけない」というルールでもあるのかというくらい(笑)。
本当にそう思います。アメリカの病院も、落ち着けるデザインの所が多かった気がします。中に入ったらいい匂いがしたりとか。日本の学校や病院もそうなってくれるといいんですけど。ああ、そういう意味では以前お話を伺った治療院さんはすごく素敵ですよね。
ありがとうございます。ああいうお庭がある施設が増えていけば、街全体の雰囲気も変わっていくように思います。患者さんや生徒さんも気分よく通えますしね。
なるほど、飲食店の業者さんは独自の技術をたくさん持ってますからね。今でこそオフィスを作り込む会社も増えてきましたけど、当時は珍しかったんじゃないですか?
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。