庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第32回 「つくばい」や「筧」もオリジナルで
direct nagomiさんのホームページを見ていると、石の照明やオブジェなどいろいろとオリジナルで作られてますよね。石のつくばいというのも見かけたんですが、そもそも「つくばい」って何ですか?
「つくばい」というのは手水鉢(ちょうずばち)ですね。手を洗うための水が入っている鉢です。
ああ、茶室のある庭園などによくありますよね。あれは石の加工業者さんに頼んで作っているんですか?
ああ、以前も中国産の石の値段が上がっていると仰ってましたもんね。
そうなんです。ですから最近は、国内の専門店で仕入れることも多くなりました。
そうなんです。なかなか奥の深い世界で(笑)。
オリジナルと言えば、石のほかにも陶器の照明なんかも作られているんでしたっけ。たしか陶器屋さんにお願いして作ってもらったと仰っていましたけど。
つまり完全なオーダーメイドなわけですね。そうすると、うっかり蹴っ飛ばして割ってしまったら、もう二度と同じものは作れないわけだ(笑)。
笑。確かに全く同じものは難しいですが、近い形のものは作ることはできると思いますよ。
それはよかった(笑)。ところでこういう陶器の照明って、モダンな家にも合いそうですよね。
一輪挿しやつくばいの代わりになるお皿のようなものも作っています。あとは陶器以外でも、「筧(カケヒ)」という、手水鉢に水が流れる部分をステンレスで作ったり。
ほう。ステンレスで。水が流れる部分というと、鹿威しみたいなものですか。
ええ。2~3年に1回は替えていると思います。
そうなんですか。いやぁ、きれいなお庭を維持するのも大変なんですね。
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。