庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第36回 「小さな庭」か「大きな庭」か
前回は理想のお庭を相談をしているうちに、どんどん広さが必要になってしまいました(笑)。でもやはり都市部では「小さな庭」が現実的だと思うんです。小さい庭の楽しみ方があれば教えていただきたいなと。
そうですね。高さの違う木や草花を植えて空間をうまく利用すると、小さな敷地でも季節ごとに景色が移り変わる庭が作れますよ。
なるほど。四季の変化が楽しめるというわけですね。
ええ。常緑樹と落葉樹を組み合わせることで、花の咲く時期、新芽の出る時期と、一年中楽しめると思います。とはいえ、小さいと言っても60坪くらいの広さは必要になると思いますが……
60坪! 都市部では30坪とか35坪のお家も多いんですけど、そうなると難しいですかね。
う〜ん、1軒のお家だと作り込むのは難しいかもしれませんね。ただ、複数のお庭で風景を作れれば、可能だと思います。ちょうど「6軒分のお庭を街並みごと作る計画」があったんですが、そちらが完成しまして。
そうですね。家の外の景色もうまく活用していけると、より楽しめるお庭になると思います。
本当ですね。でもそういう計画でもない限りは難しそうだなぁ。
ああ、確かに。そういう場合は外構屋さんのお仕事になるんですかね。
そうですね。都心部はそういうケースも多いと思います。
ということは、地方に行けば行くほど「お庭を作る」という需要が生まれてくるわけですか。
そうですね。ご予算にもよると思いますが、お庭を楽しみたい場合は、都心から離れる選択肢もあっていいと思いますね。
そりゃそうですよね。都心で60坪の土地を買えるのなんて、大金持ちだけですよ。何か悪いことでもしないと、とてもじゃないけど買えません(笑)。
そうなんですか! ぜひお待ちしております(笑)。
最近は岐阜に引っ越す人が増えているみたいなんですよね。中でも美濃加茂市は住みやすい街ランキングでもけっこう上位に入っていたりして、1坪20万円くらいで思ったより高かった気がします。
でも駅から離れれば、住宅街でも1坪5万円くらいのところもあるので。庭付きのお家に住むにはすごくいいと思いますよ。
へぇ。そのくらいだったら100坪でも買えますね! 100坪の家なんて、都内で考えると夢のような広さですよ。ちなみに中古の空き家を買って、お庭だけ作っていただくこともできるんですか?
ええ、もちろんです。お庭もリガーデンしてあげるとだいぶ使いやすくなると思います。昔のお庭は機能面では使いにくいことも多いので。
ほう、なるほど。100坪の土地付きの中古物件でリガーデンをお願いしたら、どのくらいの費用でできるものなんですか?
元々そのお庭にある材料を使って少し作り変えるのであれば、100万円くらいでできると思います。
100万円でできちゃうんですか。これまた夢のようですね。できればお家のリフォームも中島さんにお願いしたいくらいです(笑)。
それは僕の双子の兄が昔ながらの大工なので、ご紹介します(笑)。
そうなんですね! それは心強い。美濃加茂の空き家を頑張って探します(笑)。
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。