第25回 オフィス内に大きな滑り台がある理由〜来社型営業のススメ〜

この対談について

「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。

第25回 オフィス内に大きな滑り台がある理由〜来社型営業のススメ〜

安田

今回は以前もお話していた「来社型営業」について話したいなと。トゥモローゲートさんはそちらに舵を切るため、先日オフィスを増床したばかりですよね。


西崎

ええ、既にたくさんの経営者さんに来ていただいています。

安田

私もワイキューブ時代にオフィスにはかなり投資しまして。皆に「これからは来社型営業なんだ」ともっともらしく言っていたんですけど、実を言うと私自身がああいうオフィスで働いてみたかったんです(笑)。西崎さんもそうなんじゃないんですか?


西崎

笑。もちろん自分の好きな雰囲気のオフィスで働きたいな、とは思いますけど、やっぱりビジネス戦略的な部分も大きいですよ。とりあえず「オシャレなだけのオフィス」にはしないぞと決めて。

安田

ほう、それはなぜです? オシャレなだけじゃ経営者さんは来てくれませんか。


西崎

そう思いますね。僕らは新オフィスを「ショールーム」にしたいと考えたんですよ。僕らのやっている事業、つまりブランディングのショールームです。どうやって会社のブランドができあがるのか、目で見て理解できるようなものにしたいと。

安田

ああ、なるほど。トゥモローゲートさんで言えば「オモシロイ会社をつくる」というブランディングを体現しているオフィスにしようということですね。


西崎

仰るとおりです。一般的にオフィスって、大人たちが難しい顔して、どこかイヤイヤ集まってるっていうイメージあるじゃないですか。だから「オモシロイ会社」を目指しているウチは、その真逆のオフィスを作るべきだと思って。

安田

ああ、それで大きな滑り台があったりするわけですか。


西崎

そうそう(笑)。子供も楽しく過ごせるオフィスって、面白いなあと。そうやって「ブランディングってこういうことなんだよ」っていうのを、クライアントさんに体験してもらえたらいいなと。

安田

なるほど、そう言われると実際に行って見てみたくなりますもんね。


西崎

セールス的に考えても、100回口で説明するより、1回オフィスを見てもらう方が納得感・説得力がありますから。これはクライアントさんだけじゃなく、採用面でもそうなんですけどね。

安田

ああ、確かにそうでしょうね。とはいえですよ、お店に客さん側が行くのが当たり前のBtoCと違って、BtoBでお客さんに来てもらうって簡単じゃないでしょう? 実際、「来社型営業」に振り切る会社さんって多くないじゃないですか。


西崎

確かに簡単ではないですよね。でも、逆の立場だったら僕はそっちの方が興味わくんですよ。「オフィスに来てもらえばウチの強みが絶対伝わります!」なんて言われたら、行きたくなっちゃう。

安田

でも、なんか「行ったら閉じ込められてすごい営業されるんじゃ?」みたいに思う人もいるんですよきっと(笑)。


西崎

うちはそんなことしませんよ(笑)。

安田

もちろんわかってますけど(笑)。でも、「来たらわかる」と大見栄を張るわけですから、相応のオフィスじゃなきゃいけない。ちょろっと投資したくらいではなかなか難しいよねとも思うんです。


西崎

確かにそれはそうかもしれません。うちも2階のオフィスは7000万円借り入れて作りましたし、今回もそれ以上にかけてます。金額だけ見ればかなり思い切った投資でしたけどでも、あんまりギャンブルの感覚はなかったですね。

安田

ほう、それだけの額でも、自分の中では手堅い投資だったと。


西崎

ええ。実際それで想定以上のプラスを出せているので。売上もそうですし、採用的にも。

安田

なるほどなぁ。ということは、西崎さん的にはそれくらいの費用をかけてでもオフィスに投資した方がいいよ、という立場なわけですか?


西崎

それはそうなんですけど、実際にやってみて思うのは、「オフィスだけ作り込めばいいわけじゃないな」ってことで。オフィスだけ変えたところで、バンバン経営者さんが来てくれるわけじゃないよと。

安田

ふーむ、他に何が必要ですか?


西崎

いろいろありますけど、やっぱりまず「知ってもらう」ことが重要ですよね。ウチで言えばXYouTubeでの発信があって、知名度との掛け算ができたからこそ成功しているというか。

安田

確かに確かに。「SNSで話題のあのトゥモローゲートさんか!じゃあ行ってみたい!」となるわけですね。で、既に「来社型営業」へはシフトできた感じですか?


西崎

そうですね。いま新規のお客さんでウチのオフィス見ずに契約される方ってほぼないんじゃないかな。

安田

へぇ~、すごいなぁ。ちなみにクライアントさんにも「来社型営業」を勧めるんですか? オフィスにも思い切った投資が必要ですよって。


西崎

そうですね、提案することは多いですよ。実際にやってくださる会社さんもいますしね。ただ、割合はまだそこまで大きくないかな。

安田

どれくらいですか? 10社提案して、実際にやるのは


西崎

23社くらいですかね。最近は内装費なんかもすごく上がってますから。

安田

確かにそうですよね。まぁ、だからどの会社も簡単にはできないわけで、そういう中でやるから差別化ができるとも言えますけど。


西崎

本当に高いですもん。ウチも今回3階を増床した時、2階の1.5倍くらいかかってますから。3階の方が使ってる部材も少ないし、範囲も狭いのに、ですよ。

安田

ははぁ、それは大変だ。先行投資しておいてよかったですね(笑)。

 


対談している二人

西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社
代表取締役 最高経営責任者

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1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数18万人とSNSでの発信も積極的に展開している。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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