「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。
第27回 トゥモローゲートが「ブラックな企業」をやめる日
今回はあらためて「ブラックな会社」についてお聞きしたくて。西崎さんの中で、この切り口をやめる時期は考えていたりするんですか?
やめる時期…いや、まったく考えていませんでした(笑)。この「ブラックな会社」って、もはや我々のアイデンティティのようになっていて、少なくとも今の時点でこれを変えようという気はないです。
そうなんですね。いや、そこにどれだけの意味が込められているかはわかっているんです。でもそもそもは、「ブラック企業」というワードを逆手に取ったコピーライティングでもあるわけじゃないですか。
確かに、最初の新卒採用で「ようこそ、ブラックな企業へ」というコピーを出した時、「ブラック企業なの!?」というミスリードを狙っていた部分はあります。でも今となっては、そういう感覚はあんまりないかもしれません。
へぇ~、そうなんですね。つまり、「ブラック企業」のミスリードではなく、純粋に「ブラックな企業」になりつつあると。
そういうことですね。そもそも「ブラック」というのは、「いろいろな個性(カラー)が集まって混ざりあった結果、ブラック(黒)になっている会社」ということですので。
確かに、そういう印象を受ける発信もあるかもしれませんね。
そういう強めのコンテンツを発信する部分も含めて「ブラックな企業」なのかなと思っていて。つまり「ブラックな企業」をやめる気はないのかという質問は、要するに「いつかはもっと王道的な戦略を取ることになるんじゃないの?」という意味でもあって。
ああ、なるほど。それでいうと、現時点ではないと思います。というのも、僕らはもはや「トゥモローゲートを好きになってくれる会社さんとだけやっていこう」って感覚が強くて。
ふーむ、なるほど。でも、どうなんでしょうね。世代がどんどん変わっていく中で、そういうスタンスと合わないな、って感じる人も増えていくかもしれませんよ。
確かに世の中の感覚はどんどん変わっていきますもんね。
西崎さんはあと10年とかで引退して、ご自身は別のお爺ちゃん会社を作るんだ、と仰ってましたけど(笑)。その際に次期社長が「我が社はブラックな企業をやめます」といい出したら、どうします?
「ブラック」という言葉自体を変えるのは構わないです。僕らのやろうとしているビジョンや理念が踏襲されていれば、全然変えてくれてもいいですね。
なるほど、ビジョンや理念が大事なのであって、表現の仕方自体は変わっていってもいいと。
そうそう。そういう感じです。
わかりました。ともあれ西崎さんが社長のうちは最後まで「ブラックな会社」でいきそうですね(笑)。それはそれとして、先ほど「ブラック=いろいろな個性が混ざっている」という風に仰っていましたが、実際いろんなタイプの人がいるんですか?
いますよー。めっちゃ喋る人もいれば、めっちゃ静かな人もいて。もともと僕らは「一芸採用」的なんですよ。全部の項目が70点ある人より、ほかは全部20点なんだけど、ここに関してだけは120点、みたいな人が好きで(笑)。
へぇ~、そうなんですね。トゥモローゲートというとやっぱり西崎さんを思い浮かべてしまうんですが、実はそういう面白い人たちがたくさんいらっしゃるんですね。
ああ、確かに安田さんはうちの社員とはほぼ絡みないですもんね。ぜひいろいろ話を聞いてやってほしいなと思います。
そうですね! 先日の対談で弟さんとも話たくなりましたし、そういう機会をもうけてもらえるとすごく嬉しいです。
対談している二人
西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社 代表取締役 最高経営責任者
1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数19万人とSNSでの発信も積極的に展開している。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。