第64回 業務委託の能力は「プロの目」で見極める

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第64回 業務委託の能力は「プロの目」で見極める

安田
前回、業務委託の価値についてお話しましたけど、「社員じゃないと重要な仕事は任せられない」という人もいますよね。渡邉さんはその辺りどうお考えですか?

渡邉
うーん、一概には言えないですよね。業務委託でも信頼できる人もいますし、社員だったら必ず信頼できるのか、という視点もある。
安田

確かに一人一人の特性によって、どれくらい信頼できるかは違いますね。とはいえ合理的に考えると、社員と業務委託の一番大きな違いは契約形態なんです。つまり社員は雇用契約で時間を買っていて、業務委託は業務委託契約で成果を買っている。


渡邉

それはそうですね。そして日本ではまだ「雇用契約だから信頼できる」という考え方が一般的なんでしょうね。

安田
そうなんです。でもよく考えると、雇用契約の人って2週間前に言えば自由に辞められるわけじゃないですか。だから信頼して重要な仕事を任せていた社員が、2週間後にはいなくなってる場合も考えられるわけですよ。

渡邉
ああ、確かに。一方で業務委託は契約期間があるので、途中で辞められないと。
安田
仰るとおりです。社員には契約違反とかはありませんけど、業務委託は途中で辞めると違約金が発生するんです。

渡邉
そうか。ということは、例えば契約期間を半年とか1年じゃなく3年とか5年にすれば、その間は契約で縛ることもできるわけですね。
安田
そうですね。能力の高い人だったら、3年単位で契約して1年ごとに延長するような、先々の契約をしてもいいと思います。そうすればそこから3年間はいてくれるわけですから。

渡邉
その人にとっては仕事の安定に繋がりますしね。なんだか雇用に近づいてくる感じもしますけど。
安田

指揮命令系統が発生してなくて、働く場所や時間が拘束されてなければ、それは「業務委託契約」ですから。


渡邉
確かに。社会保険料を抑えるために、実態は雇用なのに業務委託に偽装するケースなんかも聞きますが、やめたほうがいいですよね。
安田
それは前時代的というか、違法行為にあたるのでもう成り立たなくなるでしょう。
渡邉

そういう意味でも、これからは「社員に払う給料」と「業務委託に払う報酬」は分けて考えた方がいいのかもしれませんね。社員の給料はオペレーションを回すための費用で、業務委託への報酬はどちらかというと投資の側面が強いというか。

安田

そう思います。この間ランリグさんに紹介していただいたプロ人材の方も、その速さとクオリティに驚きましたけど、そもそも質が違うんですよね。


渡邉
打合せした内容をベースにパワポの資料や提案書を作った方ですね。
安田

そうそう。「3日で作ります」って仰ってましたけど、同じものを社員に「3日で作ってこい」って言ったらきっと大ブーイングですよ。下手したら病気になったり会社を辞めてしまうかもしれないくらいで。


渡邉
うーん、確かに社員にとっては「仕事を早く進めるメリット」ってあんまりないですからね。給料は決まっているし、できれば仕事量は少ない方がいいわけで。それが業務委託なら、早くやればその分の時間で他の仕事ができて、結果収入も増える。
安田

そうなんですよね。しかもクオリティが伴ってないと仕事がもらえないから、そこについてもしっかり担保される。発注側からすると、納期が守られなかったりクオリティが低かったら次から発注しなければいいだけなので、すごく使い勝手がいいわけです。


渡邉
逆に納期をしっかり守ってクオリティが担保されている業務委託なら、どんどん仕事が増えますよね。
安田

そりゃそうですよ。とはいえ「パワポで資料を作る」ような仕事って、レベルを問わなければ誰でもできるわけです。だから外注費を抑えるために、「パワポが使えるだけ」の社員に任せちゃって、失敗したりする。


渡邉
うーん、確かにありがちですね。適当な社員に仕事を振った結果、プロが3日で終わる仕事に3週間かかって、かつクオリティもいまいちだったり……
安田

そうそう。その社員の人件費を考えたら結局は高くついてるんですよ。でもそこになかなか気付けない。

渡邉
不思議と社員の人件費を払うのには抵抗がないんですよね。社保含めて毎月50万とか、けっこうな金額だと思うんですけど。
安田

確かに、外注費にその金額を使うのは嫌がる経営者が多いですよね。でも、これだけ時代が変わっているんだから、古いタイプの経営者は考えをアップデートしていかないとマズイと思いますね。

渡邉

それで言うと、やっぱり「外注を上手く使うこと」が大事ですよね。それも安い業務委託ではなく「高い人を短い時間で使って双方にメリットをもたらす」という感覚が必要な気がします。

安田

仰るとおりだと思いますが、簡単に変われる経営者さんばかりじゃないでしょう。例えばSNSの運用にしても、サイトのキャッチコピーやサムネイルを作るにしても、毎回何万円~何十万円とかかるわけです。それを高いと思うか安いと思うかですよね。

渡邉
うーん。中小企業は資金が潤沢でないからこそ、そういうところにこそ投資した方がいい気がします。
安田

本当にそうですよ。赤字社員を抱えている分をプロ人材に充てていけば、めちゃくちゃ成果が出ると思いますから。でも実際は赤字社員であっても雇用を選ぶ中小企業が多いんですよね。

渡邉
確かに。僕も含めて「自分でもできそうなレベル感の仕事」しか思いつかないからかもしれません(笑)。自分の裁量の中で判断してしまうというか。
安田

ああ、能力のある業務委託に仕事を依頼した経験がなければ、確かに見分けるのも難しいかもしれない。

渡邉
そうですね。そういう部分で「その道のプロ」がお役に立てているという実感はありますね。

対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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