それは間違いないと思いますね（笑）。オープン当初なんて、もう毎日びっくりしてましたから。「これ、ケーキ屋のクリスマス時期と一緒の忙しさじゃん」って（笑）。

ええ、それくらいハードでした。しかもそれだけ忙しいにもかかわらず、利益が全く出ない（笑）。

そうなんですよ（笑）。それでようやく「これは絶対に何かがおかしいはずだ」と思って、仕事の進め方を変えたりスタッフの働き方改革に着手したりして。

全く違いますね。まずケーキ屋さんって「計画生産」が基本なんです。人間が計画を立てて、それに沿ってすべてが流れていく。一方パン屋さんは、異常なくらいの「超・労働集約型」。人間が「イーストのペース」に合わせて動いていかなきゃいけないんですよ。

そうですそうです（笑）。イーストの発酵や環境に合わせて働くから、それこそ朝1時とか2時から仕込みを始めなきゃいけないし、夜も日付が変わる頃まで働きっぱなしになるんです。

「イーストたちの働きを、僕がコントロールしてあげればいいんじゃないの？」と思い至りまして。そこからパンのことや発酵のメカニズムなどについてものすごく勉強し始めました。

そうですね。実際の現場では試行錯誤の連続でしたけど、結果的にはうまくいきました。おかげでどんどん出勤時間を遅くすることができまして。今では7時半の出勤でも全く問題なくお店を回せています。

たぶん長きに渡って「朝早くに生地を仕込むのが当たり前」だったからじゃないでしょうか。つまり先入観、イメージの問題だと思います。ともあれ、国として「働き方改革」が盛んに推奨され始めたこの数年で、ようやくパン業界も変わってきた感覚はあります。

うーん…難しい質問ですね（笑）。そうだなぁ、今のアタマを持ったまま戻れるのなら、やるんじゃないかな。

はい。でももし何も知らないままの状態で時間を巻き戻すなら、二度とやりたくない（笑）。あんな大変さは、もうごめんです（笑）。

ありがとうございます（笑）。大変ながらもずっと続けていて思うのが、パン屋さんってやっぱり楽しいんですよ。商品開発のサイクルが早いから飽きないというか。

そうそう。しかも「自分の考えた商品を形にする」ことがケーキ屋さんよりもずっとやりやすい。そういう面では、働くスタッフにとって大きなモチベーションにつながりますし、面白さの1つでもあると思います。