【読むPodcast | ゲリラマーケティング】「娘の鬱をなんとかしたい」2020年9月23日配信

第417回 「娘の鬱をなんとかしたい」というご質問。
ずっと順調だったのに・・・という一文が気になったという安田。自らの経験談を語ります。
栃尾

こんにちは。安田佳生のゲリラマーケティング。ナビゲーターの栃尾江美です。

金子

ランニングや筋トレをすることで不安がなくなるって本当だったんだと実感しています。金子亜佑美でーす。

安田

安田佳生です。

栃尾

もうランニングできるようになったの?ケガ治ったの?

金子

なりました、はい、ゆっくり。

栃尾

よかったねー。

金子

ご心配おかけししし……しました(笑)

栃尾

はい(笑)。今回は60代以上、「アリスタ」という職種の方からいただいております。毎週楽しく聴いています。さて、私の娘は仕事がうまくいかなくて心身症とうつ状態になり、入退院を繰り返しています。いままで大きな挫折もなく順調に進学して公務員になれたのに、つらい毎日です。一時期、安田さんもうつ状態にあったとか。もし、そのときの体験と克服法など教えてくださればありがたいです。よろしくお願いします。ということでーす。

金子

うーん。

安田

教えません。

金子

あれっ!?

栃尾

意地悪じゃないですか(笑)

安田

意地悪ですね。

栃尾

あれ、いつですか?

安田

僕はうつかどうかわかんないですけど。うつっていうのは病院で診察される病気の名前なので。僕は病院行ってないんでうつかどうかわかんないんですけど、会社がつぶれたあとに、まったく何やるにもエネルギーが湧いてこなくなっちゃったっていう時期がありました。

栃尾

そのときどうしたんですか?

安田

……教えるんですか?

栃尾

(笑)。教えてくれてもいいんじゃないですか。

金子

ふふ(笑)

安田

僕はですね、社員がたくさんいたことと、会社がつぶれそう……まあ、実際つぶれちゃったんですけど、つぶれそうだったんで、なんとか「つぶしちゃいけない」「社員を路頭に迷わせちゃいけない」「借金返さなきゃいけない」……いろんなことを抱えながらやってたときに、そのときはものすごいエネルギーが出てたんですよ。しんどかったんですよ。だけど、それは社長としての責任感みたいなものだったわけですよね。で、民事再生っていうのをやって法的に借金なくしてもらったかわりに私は社長をやめました。他の人が社長を引き継ぎ、社員とかお客さんはその新しい会社にみんなで移っていったんですね。だから、借金がなくなって事業は残ったんで、まあハッピーなわけですよ。

栃尾

たしかに。

安田

仕事自体はあったので、借金があるから苦しかっただけ。借金がなくなったら非常に楽じゃないですか。

栃尾

はい。

安田

しかも、その借金つくって会社つぶした責任がある私がやめて、もうちょっとまともな人が社長になったわけです。それで実際に業績もだんだんよくなっていって、うまくいったわけですよ。いまでも元気にやられてるんです。ところが私はですね、そうなってくると、一生懸命よかれと思って「みんなのため」とか「会社のため」と思ってがんばってたのに、べつに自分がいなくなったって会社は回っていくわけですよ。

栃尾

はい。

安田

そして、自分の中で責任感以外の仕事をする理由がなくなってたんです。

栃尾

なるほど。

安田

ある日突然、借金を返す必要もなくなって、社員が路頭に迷うだのなんだのっていう、それは社長の仕事なんで、社長じゃなくなったんでそんなこと考える必要もないし、まあ、責任とか、なんていうんですか、背中の荷物みたいなのがなくなって軽くなったわけですよ。で、軽くなって「これから自分の好きなことやろう」って、「ハッピーだ!」って思えるようなイメージがみなさんあると思うんですけど、実はそうはならないんですね。そこで私は、責任感で人間って仕事しちゃいけないっていうことを悟りました

金子

うーん。

栃尾

そのあと、どうやって乗り越えたんですか?

安田

……それ、もう言っちゃうんですか?

栃尾

引っ張るんですね(笑)

金子

引っ張ってたのか、これ(笑)

栃尾

お好きにしてください(笑)

金子

(笑)

安田

いや、べつに引っ張るわけじゃないんですけどね。

金子

(笑)

栃尾

ああ、そうなんですね(笑)

安田

僕の3年間の苦労というのがあるじゃないですか。いきなりポンと解決したわけじゃないんですから。

栃尾

はい。

金子

うん。

安田

まあ、じゃあ言いますけどね。

栃尾

ふはは(笑)

金子

おっ。

安田

結局僕はですね、『こだわり相談ツアー』っていうのをやり始めて、僕と会って相談したい人に「食事おごってくれたら相談乗るけど、どうですか?」っていう企画をやったんですよ。今でもやってますけどね。もう1回社長に戻るにあたって、はたして世の中の人たちは自分のことを必要としてくれてるのかな?っていうことを確かめたかったんですよ。

金子

わぁ、なるほど。

安田

で、実はそこにいっぱい人が来てくれまして。ぜんぜん仕事にはつながらなかったんですけど、そこで結構まじめに、経営者さんも来れば、ニートさんもいれば、うつの人とか、それこそいろんな人が来て、とにかく一緒にご飯食べてる間になんとか全力でその人の役に立とうっていうことをやってたんですね。そしたら、だんだんだんだんと元気になってきまして。で、そこで気づいたんですよ。つまり、人間っていうのは誰かに必要とされることによってエネルギーが出るんだと。

栃尾

うん。

金子

うーん。

安田

いちばん簡単な方法は、家族でも友達でも赤の他人でもいいんですけど、目の前にいる人、すれ違った人でもいいし、とにかく何かしらのお困りごとがある人に、とにかく親切にすると。べつに「重い物を持ってあげる」とかでもいいんですよ。

栃尾

はい。

金子

うん。

安田

とにかく人の役に立ち、人に親切にすれば解決いたします。

栃尾

なるほどなるほど。

安田

ね、答えだけ言っちゃうとなんかうそっぽいでしょ?だから僕はそこに至るストーリーを語ろうとしてたんですよ。

栃尾

申し訳ありません(笑)

金子

なるほどー、わりやすかったですよねー。それは間違いない。

安田

でも、このアリスタさんね……アリスタさんじゃないか。

栃尾

(笑)

安田

アリスタさんって何なのかな、職業「アリスタ」って。

栃尾

なんなんでしょうね。

安田

これは「バリスタ」の間違いじゃないのかな。

栃尾

バリスタってありますもんね。

安田

ね。で、この方ね、こう書いてあるじゃないですか、「仕事がうまくいかなくてうつ状態になった。入退院をくりかえしてる」と。「その前にいままで大きな挫折もなく、順調に進学して公務員もなれたのに」っていう一文がすごい気になるんですよ。

栃尾

うん、たしかに(笑)。主題とちょっと離れてますもんね。

金子

うん。

安田

離れてるっていうか、つまり「ここまで順調だったのに、なんで……」って思ってるわけですよね、この質問者さんは。

栃尾

なるほど。お母様。

安田

お母さんかお父さんか知りませんけど。

栃尾

あ、たしかに。失礼しました。お父さんかもしれません。

安田

なんていうんですかねえ、挫折がない人生なんてあり得ないし、たとえば「順調に進学」ってことは「希望した学校に行けた」とか「浪人してない」っていうことだと思うんですけど、この方は、それがいいことで、反対の「志望校に受からない」とか「浪人する」とか、挫折がよくないことだっていうふうに、たぶん思ってるんですよね。それがすごい“いびつ”に感じます、僕には。

栃尾

そうですね。結構にじみ出てますね。

安田

「いままで順調に来たのに、なんでおまえこうなの」っていうのが、僕は最初からずっとそうだったんだと思うんですよ。こうやってうつになっちゃって「おかしい」ってこの方は思ってるんでしょうけど、本人はたぶん「ずっと順調だった」なんて思ってないんじゃないのかなって気がしますけどね。

金子

うーん。

栃尾

まあ、そこまではどうなんでしょうね。……はい、すいません。

安田

どうなんでしょう。僕は「順調」なんていうことは人生にはあり得ないと思いますよ。

栃尾

あ、すべて順調っていうのはないかもしれないですけど。

金子

うん。

安田

本当に何ひとつ不満がなさそうな方が、仕事もうまくいって、お金もあって、モテモテなのに、自殺しちゃう人とかいるじゃないですか。そういう世の中的に「かっこいい」とか「美人だ」とか「金がある」とか「仕事がある」っていうのとは本質的に別ですよね。

金子

うん。

安田

人間の人生の紆余曲折なんていうのはそんなに浅いもんじゃないんで。

金子

うん。それに、お母さんやお父さんが見えてるその子と、その子自身の中身ってぜんぜん違ったりしますもんね。

栃尾

うんうん。

安田

そう思いますし、その方自身がどう思ってるかは、この方が聞いてないからわかんないですけど、「おまえは順調なんだよ」っていうふうに思われてるとしたら、なかなかそれもつらいんじゃないの?って思いますけどね。

金子

そうですね。

栃尾

そうですね。こういう状態のときに、たとえば親御さんに「せっかく公務員になれたのに」みたいなことを言われたら、結構きついかもしれないですね。

金子

うん。

安田

うん。順調に進学して公務員になれたことが、何がそんなにすばらしいのかがよくわかんないです、僕には。

金子

うん、たしかに。

栃尾

親御さんの希望だったのかもしれないですね、この文脈からするに。

金子

なるほどねー。

安田

そうですね。順調な人生を生きてほしいんだと思うんですけど、順調な人生なんてないじゃないですか。

金子

ないですよー。ないですよぉー。

安田

ね。

栃尾

見え方によって、自分で順調って捉えたら順調ってこともあるし、っていうのはあると思います。

安田

まあ、その人がハッピーだったらそれでいいわけで。

栃尾

そう思います。

安田

たとえば甲子園目指してて、1回戦で負けて「あの犠牲にした時間は何だったんだ?」とかいったって、それ自体が人生って楽しいわけじゃないですか。僕も会社つぶしてますけど、それも含めて人生なわけですよ。

金子

うん。

栃尾

「あれもよかった」って思えたらいいわけですもんね。

安田

だって、生まれてから何事もなく順調で「はい終わりました」みたいなのって、映画にならないじゃないですか。

栃尾

はい。

金子

うん。

安田

……と僕は思いますけど。答えになってるかどうかわかりませんが。はい、今日はおまとめをせずに終わりたいと思います。

金子

はい。

安田

ということで、ありがとうございました。

栃尾

ありがとうございました。

金子

ありがとうございました。


*本ぺージは、2020年9月23日、ポッドキャスト「安田佳生のゲリラマーケティング」において配信された内容です。音声はこちらから

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安田佳生
境目研究家

 

 

 

栃尾江美
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金子亜祐美
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