この対談について
健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。
第69回 結局、新型コロナとは何だったのか?
第69回 結局、新型コロナとは何だったのか?

紙マスクがどこにも売っていなくて、「アベノマスク」ってガーゼマスクが国から配布されて(笑)。

感染拡大当初は「未知のウイルス」として恐れられていましたが、いろいろと調べていくうちに、このウイルスの恐ろしいところは「潜伏期間が長い」ところなんじゃないかと思いまして。

仰るとおりです。インフルエンザの場合、発症からだいたい4日で抗体ができ、そこから数日で治癒する。つまり感染から完治まで約1週間程度なんですね。それがコロナだと、潜伏期間だけで2週間ほどありそうだと言われていたんです。

ええ。ところがそうやって隔離された人がみんなコロナを発症したわけではなかったんですよ。「不顕性感染(ふけんせいかんせん)」といわれる状態で、要は感染しているのに症状が現れない人もいたと。そしてこれがコロナのやっかいな特徴の1つだったと思っています。

熱が出れば安静にするし、医者にも行くだろうけど、全く自覚症状がなければ普通の生活を送ってしまいますよね。そうやって知らず知らずのうちにウイルスをばら撒いていた人が一定数いたと。ちなみにそういう「無自覚な人」ってどれくらいの割合でいたんでしょうか。

ええ。ただこの8割の人は自然免疫で治癒していたのでいいんです。問題はコロナを発症した「残り2割の人」の症状がすごく重症化したこと。ここでいう重症化っていうのは、肺に大きなダメージを受けて、酸素が取り入れられない。つまり人工呼吸器をつけなければ死んでしまうような状態ですね。

ええ。さらに言うと重症化した人のうち5%は、もっと重篤な症状がでて、集中治療室での処置が必要になっていたと言われています。いわゆるECMOをつけなくてはいけないような状態だったと。

本当ですね。そこでやっぱり疑問なのが「コロナとインフルエンザ、何がそんなに違ったの?」ということです。潜伏期間に違いはあるとしても、「ウイルスが体内に入って、発熱して、抗体ができて、治癒する」という流れはそんなに変わりませんよね?

ウイルスが人間の体内に入り込もうとする時に「受容体」と呼ばれる、いわば「取り付く島」のようなものが必要になります。そしてコロナウイルスにとっての受容体は、肺や腸に多く分布している「ACE2」と呼ばれる酵素。コロナの場合は肺から感染するケースが多かったんです。

仰るとおりです。さらに言うと、ACEには1と2があるんですが、それぞれ炎症を促進する働きと、炎症にブレーキをかける働きを持っていて。つまり「炎症のブレーキ役=ACE2」を持つ細胞にコロナウイルスが入り込んでいた。

そうですそうです。多くの人は、自然免疫である程度やっつけられたので、特に問題はなかった。でも発症して体内の熱を上げて抗体が作られると、その抗体はコロナウイルスを取り込んでいる「ACE2を含む細胞」を攻撃するわけです。

ははぁ…つまり炎症作用にブレーキをかける酵素がどんどん減っていった結果、炎症(免疫)が暴走して、どんどん肺炎が重症化していったと。そうやって聞くと、改めて、初期のコロナというのはかなり大変な病気だったんですね。
(第70回に続く)
対談している二人
久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家
仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。