第61回 ガーメントデザイナーへの第一歩を踏み出すための条件

この対談について

庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。

第61回 ガーメントデザイナーへの第一歩を踏み出すための条件

安田

以前の対談で、「未経験でもやる気があればお弟子さんとして迎えたい」というお話がありましたね。実際にどんな方が向いてるんでしょう?


中島

まずはやっぱり体力がある方ですね。庭仕事はかなり体力を必要とするので。

安田

私はその時点でアウトかもしれません(笑)。具体的にどのくらいの体力が求められるんでしょうか?


中島

実際に庭づくりをするとなると、重いものを持ち上げる筋力と、それを続けられる持久力が必要ですね。1袋25キロあるセメントを何度も運んだりする日もあるので(笑)。

安田

それはかなりの重労働ですね! でもそういう仕事を続けているってことは、中島さんも実は相当な体力があるってことですね。そんなにムキムキには見えないですけど(笑)。


中島

まぁそうですね。僕の場合はもう慣れちゃったというか(笑)。

安田

でもそれくらいとなると、筋トレやマラソンで日頃から鍛えているような人じゃないと難しくないですか?


中島

いえいえ、やりながら徐々に力はついてきますから、よっぽど体力に自信のない人じゃければ大丈夫だと思います。とはいえ年齢が上がると少し難しくなるかもしれませんので、庭造りに興味があるなら若い時分から始めた方がいいでしょうね。

安田

なるほどなるほど。ちなみに若い方というと、何歳くらいまでのイメージですか?


中島

個人差があるので何とも言えませんが、30代前半くらいまでなら問題ないと思いますね。

安田

他に弟子に求める条件はありますか?


中島

暑さや寒さに強いことも重要かもしれません。庭って常に「外」にあるものなので(笑)。

安田

確かにそうだ(笑)。打ち合わせや設計など屋内での仕事もあるでしょうけど、庭造り自体は常に屋外ですもんね。真夏や真冬の外作業は相当大変そうだなぁ。


中島

冬はまだ着込めばいいので対策のしようがあるんですが、夏の暑さはちょっと大変かもしれませんね。もちろん、こまめな水分補給などを心がけてはいますけど。

安田

なるほどなるほど。じゃあ、体力があること、暑さ寒さに強いことは求められると。ちなみに素質というか、向き不向きもあるんですかね。


中島

細かい作業もあるので、意外と器用さは求められるかもしれません。例えば外構でブロックを積むにしても、実はけっこう細かな調整が必要なんです。キレイに見せるコツがありまして。

安田

ははぁ、なるほど。確かに職人的な技術が必要な仕事ですもんね。ちなみにやがては庭のデザインなんかにも関わるようになるわけですよね。ということは、デザインセンスも求められますか?


中島

もちろんあるに越したことはないですが、仕事をしながら磨いていってもらえればいいと思います。僕自身もそうでしたから。

安田

いろいろな経験をされて、今のスタイルに辿り着いたと仰ってましたもんね。…と、ここまでいろいろ話してきましたが、大前提としてやっぱり「お庭に興味がある人」がいいですよね。

中島

確かにそこが一番大事なことですね。お庭のこと、あるいは植物や石が好きな方なら、この仕事を楽しんでもらえると思います。

安田

私も木や石が好きなので、わかる気がします。仕事をしている間にどんどん知識も増えそうですし、そういう意味ではすごく羨ましいなぁ。ちなみに逆に、「こういう人は向いていない」っていうのもありますか。

中島

そうですねぇ。意外に数学的な知識も使う仕事なので、数字が苦手な人だと難しいかもしれません。コンクリートの量を計算したり、寸法を測ったりということが日常的にあるので。

安田

なるほどなるほど。簡単な計算くらいはできないとマズイと。

中島

そうですね。例えばコンクリートを流し込むのも、真四角な場所だけじゃなく台形のような変則的な形もあるんです。そういう時に計算式を間違えると、コンクリートの量が合わなくなってしまって大変なことになってしまう(笑)。

安田

確かにそうですよねぇ(笑)。コンクリートが溢れてしまったり、逆に全然足りなくなってしまったら困りますもんね。そう聞くと計算力ってかなり重要なんですね。

中島

もっとも、5年10年は一緒に仕事をして経験を積んでもらうことになるので、結局は「人柄」の話になってくるのかもしれませんね。そういう意味では「ポジティブでチャレンジ精神が旺盛な人」だといいなと思います。

安田

ははぁ、なるほど。確かに中島さんは造園から外構まで幅広くやられてますし、チャレンジ精神が旺盛な人なのでかなり幅広い知識・技術を身につけられますもんね。

中島

そうですね。手前味噌ながら、身につくことはかなり多いと思います。もし庭づくりにご興味をお持ちの方がいらっしゃれば、お問い合わせいただけると嬉しいです!


対談している二人

中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役

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高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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