庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第65回 金木犀の「香り」による生存戦略

そういえば実家にも金木犀があって、あの香りが秋の風物詩みたいなものでした。金木犀好きの日本人は多いでしょうし、お客さんから「香りが好きだから植えてほしい」というような要望があったりするんじゃないですか?

うーん、最近はそこまで多くはないですね。特に雑木のお庭ブームになってからは、雑木っぽい風情が出にくいので、どちらかと言えば敬遠されるようになってきています。樹形自体もそこまで特徴的なものではないですし。

そうなんです。実はdirect nagomiの事務所にも、祖父が植えた大きな金木犀の木があるんですが、それが大きく育ちすぎてしまっていて。幼い頃、毎日の登下校でその下を通るんですが、満開になるとむせかえるほどの香りで、さすがにちょっと苦手でした(笑)。

へえ〜、そうなんですか。なんだかトウモロコシみたいですね。トウモロコシって硬い皮に覆われていて、すごく繁殖しにくい形らしいんです。でも人間が世界中で育てることで、「地球上で最も繁栄した植物」と言われるまでに広まったらしいですよ。

やっぱり春先に花が咲くものが多いんですが、例えば沈丁花(ジンチョウゲ)は甘くいい香りがします。低木で、伸びても1.2メートルくらいなので、比較的扱いやすいと思いますよ。
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。