第53回 【前編】日本人の平均年収を1000万円にする方法

この対談について

「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。

第53回 【前編】日本人の平均年収を1000万円にする方法

安田

私、年が明けたら60歳になるんですね。 このまま子育てと自分の好きなことやって、そこそこ豊かに生きていけばいいかなと思ってたんですけど、ただ最近、「なんかどうもそれだけじゃつまらない」と思うようになりまして。


西崎

なるほど。それにしても60歳には見えませんね。

安田

ありがとうございます(笑)。でね、「残りの人生はこれやろう」っていうことを決めまして。最近いろんなところで言ったり書いたりしているんですが、<日本人の平均年収を1000万にする>ってことなんです。しかも単なる平均じゃなく、中央値で。


西崎

おお、日本人収入の中央値を1000万円にすると。

安田

そうそう。例えばアメリカとかは平均年収1000万円をゆうに超えているわけですが、貧富の差が激しいんで、お金持ちがかなり引っ張った1000万なんですね。そういう形じゃなく、日本人の一番のボリュームゾーンを1000万にするという目標です。


西崎

それはなんとも壮大な目標ですね。だって今の日本の平均で言うと

安田

今は400万ぐらいしかないんですよ。 これをつまり2.5倍くらいにしたいと思ってるんです。どうですか? 難しいですかね。


西崎

うーむ、そうですね。パッと聞いただけだとなかなか高いハードルだと感じてしまいますね。ちなみになぜ1000万円なんですか?

安田

日本人には十分そのポテンシャルがあると思っているからです。というのも私、以前アメリカに5年くらい住んでいたんですけど、アメリカ人と日本人の能力にそこまで大きな差は感じなかったんですよ。


西崎

ああ、なるほど。確かに日本人って、基本的な能力はものすごく高いですよね。

安田

そうなんです。勤勉だし真面目だし基礎教育もしっかり受けて、計算能力などは世界でもトップレベルなわけですよ。これはイーロン・マスクとかスティーブ・ジョブズみたいな超天才の話じゃなく、国民全体のレベル感としてね。


西崎

なるほどなるほど。平均的な能力値で言えば、全然引けを取っていないと。

安田

そう。むしろ日本人の方がサービス精神もあったり、お釣りの計算なんかでも正確だしで、1000万円と400万円ほどの差はあるわけがないと。もちろんいま時給1000円の人を時給10万円にするのは難しいかもしれない。でも時給3000円くらいにはどう考えてもいけるだろうと思うんですよ。


西崎

ああ、それが400万円の人なら、3倍になったらもう1200万円ですもんね。確かにそう言われてみると、まったく非現実的な話ではないのかもしれません。ただ、なんだか水を差すようで申し訳ないんですが、僕は最近、日本の生産性ってむしろ落ちてるんじゃ? と思うこともあって。

安田

そうなんですよ! 私も全く同感で、生産性をガンガン上げていかなきゃいけないのに、むしろどんどん落ちてますよね。働き方改革とかSDGsとか、もちろん全否定する気はないですけど、そもそも目指す方向がズレてるんじゃ? と思ってしまいます。


西崎

なかなか難しい問題ですけどね。個人的にはもう少し選択肢があってもいいというか、一律で右向け右、というのは少し乱暴な気がしてしまいます。働きたい人はガンガン働けて、休みたい人は休めるみたいな幅があってもいいかなと。

安田

そうそう。でも一方でね、じゃあ今の23倍の時間働けば生産性も比例して伸びるかというと、そう簡単でもない気がするわけです。数とか量とかスピードじゃない、日本独自の付加価値を見つけていかないと、極端に跳ねることはないんじゃないかなと。


西崎

それは確かに仰るとおりだと思います。方法論自体を大きく変えていく必要があるでしょうね。そして何より、日本人自身が「生産性を上げるぞ、1000万円稼ぐぞ」と思わないと。

安田

私が言いたいのもまさにそこなんです。日本人が1000万円稼げないのは、「自分は1000万円稼げる」と思っていないからですよ。例えば昔はね、人間は100メートルを10秒以内では走れない、というのが常識だったんですよ。


西崎

ああ、そうですよね。それこそ人体の構造的に無理なんだと。

安田

そうそう。でもね、19秒台で走る人が出てきたら、次々に9秒で走れる人が出てきちゃった。このことから考えるに、年収1000万円超えの人がバンバン出始めたら、きっとその周囲の人達も「俺でも稼げるかも」という気になって、実際稼げるようになっちゃうんじゃないかと。


西崎

それはつまり、そういう思考になることで日々のアクションが変わるから、ということですか。

安田

仰るとおりです。「どうせ俺は400万円だ」と思っているから、日々400万円の行動しかしない。でも「俺は1000万稼ぐ」と決めたら、当然毎日の行動も1000万円に向けたものになる。実は単純なことなんですよ。


西崎

わかります。僕も経営者として、そういう視点はすごく大事にしているので。ただ、じゃあそのロジックに沿って皆が本当に行動できるかというと、なかなか難易度は高いんじゃないかなぁ。

安田

…そう言われると思って、具体的な方法も考えてきたんです(笑)。2つあるんですが、1つ目は「学生は平均年収1000万円以上の会社にしか就職しない」。そうすれば必然的に年収が1000万円以上になります。


西崎

な、なるほど(笑)。でも全員がそういう大企業に入れるわけではないのでは

安田

そう。つまりエリート層しか就職しないんです。残りの人たちは、全員社長になってもらう。これが2つ目の方法です。


西崎

えっ、全員社長に!?

安田

もっとも、いきなり人を雇って組織を作るのは難しいので、いわゆるフリーランス、または一人法人を作って、年商1000万円を目指してもらうわけです。12ヶ月で割れば月80万円くらいですよ。これなら必死で頑張れば達成できそうじゃないですか。


西崎

な、なるほど。なかなか大胆な発想ですが、非常に興味深いです。その計画について、もう少し聞かせて下さい。

安田

もちろんです。ではこの続きは次回話しましょう!


対談している二人

西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社
代表取締役 最高経営責任者

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1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数19万人とSNSでの発信も積極的に展開している。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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