庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第73回 庭師でも外構屋でもない「ガーメントデザイナー」

中島さんは「ガーメントデザイナー」として、これまでたくさんのお庭を手掛けてきましたよね。今日はその「ガーメントデザイナー」という言葉、あるいは働き方を深掘りしてみたいなと。中島さんの中で、庭師さんや外構屋さんとガーメントデザイナーとではどんな違いがあるんでしょうか?

そうですね。まず庭師さんや外構屋さんとはどういうものか、から考えてみましょうか。庭師というと、私からすると「和風庭園専門の職人」というイメージが強いんです。塀で囲まれた空間に植物を植えたり、剪定しながら理想的な日本庭園を作っていく人というか。

なるほど。庭師さんは「塀の内側」のお庭を、外構屋さんは駐車場など「塀の外側」を専門にしている、とも言えるかもしれませんね。いずれにせよ割とハッキリ担当が分かれている。一方中島さんは庭も外構も手掛けるわけですから、両方の要素を持ち合わせているということですよね。

なるほどなるほど(笑)。こうして改めてお聞きすると、中島さんはやっぱり「ガーメントデザイナー」としか言えない特別な人だなと感じます。だって、普通の庭師さんにお願いしたら、仮に建物が洋風でも和風庭園を提案されちゃいそうじゃないですか(笑)。

ははぁ、つまり「機能性」を重視されると。そう考えると、庭師さん、外構屋さん、そしてガーメントデザイナーさんとでは、得意分野や取り組み方に差があるということですね。逆に言えば、お客さん側も「この部分は誰に相談すべきか」と考えて声を掛ける必要が出てきそうです。

そうなんです。庭師さんは植栽や剪定は得意でも、カーポートや門柱、フェンスの施工は専門外。一方、外構屋さんはブロックやカーポートなどハード面は得意だけど、植物の知識や手入れのことは苦手な方も多い。でも、自分の苦手なことはわざわざ言わないと思うので、お客さん側で見極める必要もあると思いますね。

なるほどなるほど。でもシンプルに考えて、業務ごとに別の業者さんにお願いすると、「一つの家」として考えた時に、どうしても統一感が出にくくなっちゃいませんか。あるいは、住み始めた後で何かに困った時、「ここについてはどこに相談すればいいんだっけ?」となりがちな気がします。

あまり多くはないんですが、茨城でお世話になった社長が、お庭から外構まで一括して作っていますね。

うーん、「ソーマオリジナルガーデン」という名前でやっているので、「オリジナルガーデン屋さん」という感じでしょうか。

なるほど。中島さんにしろその社長さんにしろ、庭師さんでも外構屋さんでもない、その両方を兼ねた存在ということですね。でも現実問題、お二人のような方は世の中にはまだまだ少ない。もっともっと発信して、「ガーメントデザイナー」という存在を広めていきたいですね。
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。