住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。
第89回 出世を目指すなら選ぶべきは中小企業?
最近「出世」について改めて考えているんですけど、大企業と中小企業では、そもそもの「出世の仕組み」に大きな違いがある気がするんです。大企業は入るまでが勝負だけど、中小企業は入ってからが本番というか。
ああ、確かにそうですね。大企業は選考が厳しい分、一度入社すればある程度生涯賃金も約束されてますからね。クビになることも少ないだろうし。
そうなんですよ。その代わり出世しようと思うと、上司とうまく付き合いながら、言われたことをしっかりこなして、失敗しないよう慎重にステップアップしていく必要がある。でも中小企業で同じことをしていても、出世できるとは思えなくて。
そうですね。中小企業では、具体的な成果が出せなければすぐに評価が下がります。クビにはならなくても、年収が下がったり、肩身が狭くなったりしますよね。
そうそう。中小企業は「成果を出してナンボ」の世界ですから。逆に言えば、成果さえ出せれば年齢や経験に関係なく出世できたりするじゃないですか。
確かに。そう考えると、大企業と中小企業では「優秀な人」の定義そのものが違う気がしますね。大企業では、ゼロからビジネスモデルを作る人より、今ある仕組みの中で効率よく収益を上げていける人が求められる。
大企業はビジネスモデルができあがってますからね。たとえるなら、受験勉強に近い部分があるんじゃないかなと。
なるほど。難関大学を目指す人たちが効率的に勉強を進めるのと同じですね。彼らは「試験を攻略する技術」が非常に高いと聞きます。
ええ、まさにそういうことです。もちろん中には「本当の天才」と呼ばれるような人もいるでしょうけど、大半は頭の良さと要領の良さを武器に、最短距離で結果を出せるタイプだと思います。
そしてそういう人が、大企業の中で出世していくんでしょうね。でもその「要領の良さ」が中小企業ではうまく機能しないこともある。中小企業では、ビジネスモデルを練り直したり、新商品のアイデアを出したりすることも多いでしょうから。
そうなんですよ。全員がそのレベルを求められるわけではないにしても、結果を出せる人が中小企業では評価されやすい。そういう意味ではわかりやすいですよね。あれこれ根回ししながらやっていく必要のある大企業の方が、個人的には出世のハードルは高い気がします。
大企業では成果だけじゃなく、社内政治や人間関係も含めてバランスよく立ち回る必要がありますよね。その点、中小企業は人付き合いが多少苦手でも、目に見える結果を出せば、確実に評価される。
そうそう。だから「偏った能力の高い人」は、中小企業の方が絶対に出世しやすいと思うんです。特定分野で飛び抜けていれば、それだけで重宝されますから。
それはそうですね。経営者にその「偏り」を受け入れる器は必要でしょうけれど。ただ最近は、そもそも「出世欲のある人」自体がものすごく少なくないですか? 「出世するぞ!」って意欲を持ってる人っているんですかね。
いないことはないと思いますよ。頑張り次第で出世できて、収入もガンガン上がっていくような会社に集まっているんじゃないでしょうか。そうじゃない、いわゆる「普通の会社」には入ってこないんでしょう。
「給料分だけは働きますよ」っていうタイプが多いですもんね。そういう人を集めてなんとか利益を出そうとしているのが現状というか。
ここから先はさらに厳しい状況になってくると思いますよ。採用の方向性も、とにかく来てくれる人を入れるんじゃなくて、ちゃんとお金儲けができる人、ビジネスの立ち上げができる人を頑張って採用する、という風に変えていかないと。
本当にそうですよね。現場で仕事をこなしてくれる人を10人採用するよりも、ゼロからイチを生みだせる人を1人採用する方に投資した方がいい。とはいえそんな人、正社員で採用できるんですかね。
普通の採用方法では難しいでしょうね。でも、求人要件を絞り込んで「偏った求人」を打ち出せば、可能性はあると思います。
なるほど。ランリグの場合は業務委託の割合が多いんですが、「偏った求人」で正社員を募集するのも面白いかもしれない。普通のやり方じゃ集まらないような人材が反応してくれそうです。
そう思いますよ。正社員と業務委託のどちらを選ぶかは、結局のところ、その人が何を重視するかですからね。安定や福利厚生を求めるなら正社員のメリットが大きいだろうし、もっと思い切り稼ぎたい人なら業務委託の方が自由度も高く稼ぎやすい。
確かに。そう考えると、稼ぎ方の価値観も大きく変わりましたよね。
対談している二人
渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役
1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。