この対談について
株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。
第94回 日本でも安楽死は認められるようになるのか?
第94回 日本でも安楽死は認められるようになるのか?
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イギリスでは昨年末、安楽死を認める法案が可決されたそうですが、日本では議論すら進んでいないじゃないですか。
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前にも「スイスまで行って安楽死をされた方」についてお話しましたよね。個人的には自分で死を選ぶ権利はあっていいと思います。とはいえ、日本では延命治療がまだ当たり前ですからねぇ。
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僕も嫌だなぁ。とは言え、延命するかどうかの決断を迫られるのって、もう本人には意識がないタイミングだったりするじゃないですか。つまり本人の意思を聞くことができない。だからウチで毎月開催している「相続と不動産の勉強会」ではエンディングノートをお渡ししているんです。
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そうそう。どこまで治療してほしいのかとか、こういう状態になったら延命措置は必要ないとかね。自分の意思を明確に記しておけば、身内が「本人がこうやって書いてるんだし、そうしましょう」って言えるじゃないですか。
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確かに重要ですねそれ。私も妻に事あるごとに「延命措置だけは絶対しないでくれ」って伝えてはいるんです。でもいざその場で「どうしますか? 延命しますか?」と聞かれたら、家族は「お願いします」って言ってしまうかもしれませんよね。
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そうでしょうね。一方で、生前の言いつけを守らず延命治療をしちゃって、「言いつけ守れず申し訳ない」と後悔する方も多いそうなんです。だから私はいっそのこと、法律的に「家族がなんと言おうと、本人の意志を尊重する」としてしまった方がいい気がして。
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私もそう思います。死後の準備=自分の死に方を選ぶ権利とも言えるわけで。その流れで言えば、世界的に安楽死は認められるようになっていくと思うんです。まぁ、日本がそれを承認するのは随分先のことのようにも思えますが。
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…そう言えば、老犬を飼っている人から聞いた話なんですが、もうほとんど歩けないしご飯も食べられなくなって、獣医さんに「楽にしてあげる方法もありますよ」と言われたそうなんです。でも奥さんと娘さんは「頑張って生きているのに、殺すっていうの?」って大激怒したらしくて。
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…なるほど。なかなか難しい問題です。でも私からすると、それは家族側のエゴな気もします。犬からすれば「もう楽にして欲しい」と思っているかもしれない。それこそ、病院で延命されている患者さんたちのように。少なくとも私が犬の立場ならそう思いますね。
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こういう話をしていると、結局「生きているとはなんぞや」という話に行き着いてしまいますね。「呼吸をしている=生きている」とするのか、「ある程度、自分の意思でやりたいことをできる=生きている」とするのか。
対談している二人
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。