地元国立大学を卒業後、父から引き継いだのは演歌が流れ日本人形が飾られたケーキ屋。そんなお店をいったいどのようにしてメディア取材の殺到する人気店へと変貌させたのかーー。株式会社モンテドールの代表取締役兼オーナーパティシエ・スギタマサユキさんの半生とお菓子作りにかける情熱を、安田佳生が深掘りします。
第53回 他社の方との1on1が教えてくれた「自分の未来像」

スギタさん、以前「1on1」をやられてましたよね。パン屋さんやケーキ屋さんとは別の「副業」みたいな感じで。

AIでピックアップされた数人の候補の中から、受ける側が選ぶシステムになってますね。経歴もわりとオープンにした状態で選んでもらうんですけど、僕みたいな経歴の人は結構珍しいみたいで、意外と選んでいただけるんですよ。

ええ。でも話を続けていくと「あ、ちゃんと聞いてもらえてる」って感じていただけるようで、そこからはスムーズですね。正直、アドバイスを求めているというより、「まずは聞いてほしい」というニーズが大きいんだと思います。

すごく勉強になります。というのも「自分もそれ、やってしまってるかも……」ってハッとさせられる話が多いんです。例えば「具体的な対策もないのに、ただ『早く帰れ』と上に言われるだけで困っている」とか。

そうなんです。もちろん報酬は出ますけど、メインは「他の会社の人と話すことで、自分自身の未来が見えてくる」という部分が大きいです。僕の場合は肉体労働なので、60〜70歳になっても今のペースを維持できるかというと難しいわけですよ。だから自分より少し先にいる人の悩みを聞くとすごく参考になるというか。
対談している二人
スギタ マサユキ
株式会社モンテドール 代表取締役
1979年生まれ、広島県広島市出身。幼少期より「家業である洋菓子店を継ぐ!」と豪語していたが、一転して大学に進学することを決意。その後再び継ぐことを決め修行から戻って来るも、先代のケーキ屋を壊して新しくケーキ屋をつくってしまう。株式会社モンテドール代表取締役。現在は広島県広島市にて、洋菓子店「Harvest time 」、パン屋「sugita bakery」の二店舗を展開。オーナーパティシエとして、日々の製造や商品開発に奮闘中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。