住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。
第101回 採用難を突破する「付加価値創造スキル」

確かにそうですね。考え方を根本から見直さないといけないタイミングに来ている気がします。にもかかわらず、経営者の意識がまったくアップデートされてないというか。「今までもなんとかなってたし、これからも大丈夫でしょ」みたいな。

そう思います。それに、昔ながらの「人を使って売上を伸ばす」って発想も、もうそろそろ限界ですよね。これからの社長って、いわゆる管理職じゃなくて、自分で新しい価値をつくっていく「クリエイティブ職」だと思うんです。

そうそう。会社を引っぱっていくのって、社員でも仕組みでもなくて、やっぱり社長の発想力と行動力なんですよ。そのうえで、社員にも「働いてもらってる」という感覚を持てるかどうか。お客さんと同じようにリスペクトできるかが重要です。

そうなんですよ。社員の幸せと会社の利益。そのどちらかじゃなくて、ちゃんと両方を実現するのが社長の仕事じゃないかと。ただそれを本気でやろうとすると、ビジネスモデルを見直すくらいの覚悟が必要になるとは思いますけど。

割合でいうと、付加価値を本質的に理解して実践できている経営者は2割もいないかもしれないですね。多くの中小企業は「商品を仕入れて売る」「人を雇って人件費以上の利益を出してもらう」というビジネスモデルですから。

そうなんです。どんどん人が足りなくなっていく時代に、そういう「人をコストとして捉える」やり方はもう限界なんですよ。これからはその人材にどんな価値を加えていけるか。そこを考えられないと、いずれ立ち行かなくなってしまう。

つまり「価値を足す」のが社長の仕事とも言えると。例えば社員の特性や強みを見極めて、それが商品やサービスに反映されるような仕組みをつくることも「価値を加える」ことの一つですよね。働く側からしても、「自分の特性を活かせる」と思えれば長続きするでしょうし。

まさに住宅業界でもそういう会社が増えてます。要は「そこそこのクオリティとそこそこの値段で頑張ってます」が多いんですよね。それではどこも似たり寄ったりで、いずれ淘汰されていってしまう。となると「縮小」の方向に進まざるを得ないんじゃないかと。

そうそう。それに無駄な人材構成も見直す必要があると思います。総務課長、人事課長、経理部長のような「どの会社にもいる肩書き」の人材は全部アウトソーシングでいい。その代わり自社にしかない役割の人はしっかり確保する。

ターゲットの絞り込みができてないんでしょう。まずは「損得勘定」から抜け出すことがポイントなんです。例えば100円が10円より高いとか、1000円より安いというのは、誰が見ても同じですよね。でも「どっちが楽しいか」は人によって違うわけで。

そこがまさに「付加価値」ですよね。それだけ高くても「行きたい」と思わせる力があるわけで。ディズニーランドなんかも単価を上げた結果、過去最高収益ですから。学ぶ点は多いと思います。
対談している二人
渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役
1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。