第103回 「人が建てる家」が高級品になる?

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第103回 「人が建てる家」が高級品になる?

安田

住宅業界の人材事情って、今どうなんですか? やっぱり厳しいんでしょうか。


渡邉

そうですね。僕の周りの経営者たちの間でも、「人がいなくて限界」という声は多いです。今まではいわゆる「茹でガエル」状態だったんだと思いますが、さすがに「本当にヤバいかも」と感じ始めている。

安田

なるほど。ともあれ事業は続けていかなければならないわけで、その少ない人材をどう確保するかを考えないと。渡邉さんとしてはどういう方法がいいと思います?


渡邉

うーん、難しいな(笑)。まぁ、会社のスタンスとして「現場に近いポジションを取る」というのは大事でしょうね。自分たちで考えられる・作れるというのはやはり強いですから。ただ、昔からそうですがいわゆる肉体労働職は採用難易度が高いですからねぇ。

安田

いや、報酬が逆転したら状況は一変すると思いますよ。現場仕事の方がホワイトカラーより高収入になれば、「そっちの方が得じゃん」ってなる人は出てくるはず。既に現状でも、コンサルを辞めて現場職に転職している人がいると聞きますし。


渡邉

ああ、確かに。人数は多くなくても、そういう人は増えてきてますね。実際、現場の年収はどんどん上がっていて、1000万円くらいなら普通に稼げますから。

安田

ホワイトカラーの生き残り競争で勝つよりも、よっぽど確実だと思いますね。


渡邉

ただまぁ、年収1000万円をそもそも払えない中小企業も多いわけで。

安田

そういう場合は淘汰されていくでしょうね。でもどうなんですか、「人じゃなくてテクノロジーを駆使して家を建てる」みたいな未来もありそうじゃないですか。そっちの方向を目指すのもアリなんじゃ?


渡邉

それはそれで仰る通りなんですよね。今やブルドーザーだって遠隔操作ですからね。3Dプリンターの技術もどんどん進んでますし。

安田

でしょう? 機械が機械を動かして家を建てる時代になるかもしれませんよ。

渡邉

可能性はありますよね。戸建住宅やマンションみたいに決まった形をたくさん作るなら、むしろAIがやった方が精度も高くなりそうです。設計とか提案は、まだ人の感覚が必要な気がしますけど。

安田

ただそれすらAIがやることも可能になってくるんじゃないですかね。あらかじめ用意された50個くらいの質問に答えれば、サクっと複数のプランができ上がっちゃうみたいな。


渡邉

ああ、確かに。そのプランをそのまま使えば安い、人間が加工するなら追加料金、みたいなサービスもできそうですね。

安田

なるほど面白い。でも人間が完全に関わらなくなったら、家の価格がガクッと下がりそうですよね。


渡邉

実際今でも3Dプリンターで家を建てると、従来の3分の1くらいでできちゃいますからね。しかも納期3日4日で。

安田

ははぁ、すごい。まぁ機械は24時間稼働ですもんね。住宅業界に限らず、飲食店なんかもそういう感じになっていくんだろうなぁ。機械が調理して機械が持ってくる。


渡邉

逆に言えば、人間が関わるサービスは高級化するんでしょうね。一般の人は手が出ないから、仕方なく「機械の作った家」に住むと。

安田

そうなりそうですよね。ちなみにそうなっちゃうのはどれくらい先なんですかね。


渡邉

近いと思いますよ。実際、万博とかで職人不足がかなり加速してますし。

安田

ああ、そうですよね。東京では4月から無人タクシーが試験運行しますしね。「まだまだ先だろう」と思われてるものも、変わるときは一瞬なんでしょうね。

 


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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