地元国立大学を卒業後、父から引き継いだのは演歌が流れ日本人形が飾られたケーキ屋。そんなお店をいったいどのようにしてメディア取材の殺到する人気店へと変貌させたのかーー。株式会社モンテドールの代表取締役兼オーナーパティシエ・スギタマサユキさんの半生とお菓子作りにかける情熱を、安田佳生が深掘りします。
第57回 「美味しそう」の裏に隠された大切なこと

先日東京駅ですごく美味しそうなフィナンシェを見かけたんですよ。バターを前面に押し出していて、箱も高級感たっぷりで。8個入りで3000円近くしたので、「これは間違いない」と思って家族へのお土産に買ったんです。

それが、家に帰って原材料表示を見てみたら、一番目にマーガリンと書かれているのに気付いたんです。つまり最も多く使われているのがマーガリンという……

「純生クリーム使用」と書いておきながら実際はホイップクリームや植物油脂をブレンドしたコンパウンドクリームがメインだったり、「フランス産バター使用」と大きく書いてあるのに、ほんの少し混ぜてるだけで主原料は別だったり。

表示はルール通りでも、受け取り方とのギャップが大きいと、信頼を損ねかねませんよね。私もお菓子の開発に関わる立場として、こういう事例を見ると考えさせられます。やっぱり、ちゃんとしたものを作りたいなって。
対談している二人
スギタ マサユキ
株式会社モンテドール 代表取締役
1979年生まれ、広島県広島市出身。幼少期より「家業である洋菓子店を継ぐ!」と豪語していたが、一転して大学に進学することを決意。その後再び継ぐことを決め修行から戻って来るも、先代のケーキ屋を壊して新しくケーキ屋をつくってしまう。株式会社モンテドール代表取締役。現在は広島県広島市にて、洋菓子店「Harvest time 」、パン屋「sugita bakery」の二店舗を展開。オーナーパティシエとして、日々の製造や商品開発に奮闘中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。