この対談について
株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。
第113回 経営者を「綺麗に」引退するために必要なこと
第113回 経営者を「綺麗に」引退するために必要なこと

なるほど、この対談のテーマにふさわしい内容ですね(笑)。

私が60歳なので、では60歳前後を「我々世代」としましょうか。鈴木さんの周りにもその年代で現役の社長をされている方たちが大勢いると思いますが、皆さんどういう風な「終わり」を考えているんでしょうね?

ああ、なるほど(笑)。しっかりしているうちに考えておくべきだってわかってはいるけど、どうしても先延ばしにしちゃうというね。まぁ実際、会社の終わりも人生の終わりも、なかなか現実味がないですもんね。

「俺がこの会社を絶対デカくしたるぞ!」という野心があったので、なりふり構わずにやってきました(笑)。

ありましたね。7割とか8割くらいの人が、親の会社をそのまま継いでいたような。でも最近はM&Aなどの選択肢を取る経営者も増えてきましたよね。昔は「会社を売る」ということ自体がものすごくネガティブなことだったけど、今は全然そんな感じじゃないし。

確かにそうですね。むしろ大きい会社の資本が入って給料が増えたりして、社員に喜ばれたりね。身内にとっても「お金」として資産を残せるからわかりやすいし。…ただこれは、実績がいい時にM&Aをした場合ですけど。

本当ですね(笑)。ところで「誰に引き継ぐか」も大事ですが、そもそも我々世代の経営者さんたちって何歳くらいまで働き続けようと考えているんでしょうかね。今の時代、サラリーマンだって70歳や75歳まで働いたりするじゃないですか。それこそ経営者なら、一生現役でいるという選択だってできるわけで。

それこそ昔は「死ぬまで現役で居続ける」という人も多かったですよね(笑)。とは言え今は、以前よりはもう少し早めにリタイアを考えている人が増えているんだろうと思います。中でも「次にやること・やりたいこと」が決まっている人は、わりとスパっと引退できると思っていて。
対談している二人
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。