第83回 日本のプロ野球をメジャーリーグを超えるエンタメに

この対談について

「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。

第83回 日本のプロ野球をメジャーリーグを超えるエンタメに

安田

突然ですが、西崎さんってプロ野球とか見てました?


西崎

野球好きですよ! 福岡に住んでいたのでホークスファンでした。

安田

私も阪神ファンで高校生時代はよく見てたんですが、社会人になってからはあまり見なくなって。で、最近はメジャーリーグしか見てないんです。


西崎

あ、同じです。僕も最近はめっきりメジャーばかり見ています。

安田

ああ、一緒ですね。なんかメジャーをしっかり見ちゃうと、日本の野球があまり面白くなくなってしまったんですよね。なぜなのかうまく言語化できていないんですけど。


西崎

いや、僕も近い感覚ありますよ。なんというか、メジャーはダイナミックですよね。それこそ球速も160キロ台が当たり前ですし、体も大きくて迫力があるし。

安田

そうですよね。でね、それってビジネス面でも同じだなと感じるんです。日本のプロ野球とメジャーリーグを比べると、ビジネスとしてもかなりの差が開いちゃった。今や大谷選手なんて1000億円という契約ですから、まさに桁違いの差ですよ。


西崎

ああ、確かにそうですよね。

安田

この差はなぜ生まれたのか?  日本のプロ野球をメジャー並みにする方法はあるのか? もし西崎さんが「日本のプロ野球でメジャーを超えてくれ」というミッションを与えられたらどうしますか。


西崎

そうだなぁ、僕だったらまず「戦うフィールドを変えたい」ですね。日本のプロ野球って、日本のファンしかいないじゃないですか。一方でメジャーは、僕や安田さんのように、世界中にファンがいる。つまり「世界中にファンを持つ」というのが、メジャーを超えるための最低条件かなと思います。

安田

なるほどなぁ。でも日本のファンに関して言うと、日本人選手がメジャーに行き始めてから出てきた感じじゃないですか? 野茂が最初に行って、イチロー、松井と続いて、私も松井選手くらいから真剣に見始めました。


西崎

そうですよね。だから、世界中から人材を集めてくるのが1つの手だと思います。今も助っ人外国人はいますけど、1球団あたり2人までって決まってますよね。でもメジャーにはそんな制限ない。

安田

ああ、なるほどね。ということはまず外国人枠は取っ払っちゃうべきだと。


西崎

それが一つのポイントだと思いますね。もちろんそうすると日本人選手が出られなくなるかもしれないですけど、でも「世界にファンを作る」ってそういうことだと思うんです。

安田

それくらいの覚悟が必要だと。実際メジャーは世界中の選手が活躍してますもんね。


西崎

そう。プエルトリコ、キューバ、日本いろんな国の選手が混ざっている。もし「外国人は2人まで、残りはアメリカ人だけ」なんてルールがあったら、今みたいにはなってないと思います。そういう意味では日本のプロ野球にある「日本人選手を守る」という発想をまず捨てる必要があるのかも。

安田

でも今、日本に来ている外国人選手って、言い方は悪いけど2番手、3番手が多いですよね。メジャーのトップクラスは来ない。


西崎

そうなんですよ。でも不可能ではないと思う。たとえば楽天がイニエスタを獲得したように、サッカーでは既にトップクラスの選手を呼んでいる。ゴルフでも世界中から選手を集めてますし。

安田

お金はものすごくかかりますけど、でも、そこを壊さないとメジャーには勝てないと。そう考えると日本のプロ野球っていろいろと古臭い伝統が残ったままですよね。政治と一緒で、「その仕組みを変えたくない人たち」がいるんだろうなぁと。


西崎

確かに。メジャーでは、オーナー企業がどんどん変わっていって、新陳代謝がガンガン行われている。一方日本のプロ野球はずーと同じ企業がオーナーなことがほとんどで。

安田

確かに。西崎さん、どこかの球団買っちゃってくださいよ(笑)。


西崎

いやいや、そこまでの余裕はないですよ(笑)。

安田

もし余裕があったら、買う可能性はありますか?


西崎

うーん。でも確かに、日本でこれだけテレビで放映してくれるスポーツって、野球以外にあまりないですからね。相撲くらい?

安田

相撲は相撲で別の既得権益がありそうですけどね(笑)。ともあれ今のままだと、日本のプロ野球人気はどんどん下がっていく気がします。テレビ放映も昔は毎日のようにやってたのに、最近はどんどん減っているし。


西崎

ああ、確かに。学生の頃は巨人戦やホークス戦はほぼ毎日放送してました。今はもう、よほど好きな人じゃないと球場にも行かないんでしょうねぇ。

安田

エンタメとしての「見せ方」を本気で考えるべきタイミングなんでしょうね。個人的にはトゥモローゲートさんにぜひ関わってもらいたいです!(笑)。


対談している二人

西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社
代表取締役 最高経営責任者

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1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数20万人とSNSでの発信も積極的に展開している。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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