この記事について
2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。
前回は 第366回「なぜ地方では採用が上手くいくのか」
第367回「日産の栄光と没落」
安田
日産が神奈川県の追浜工場を閉鎖するみたいです。従業員は引っ越しを伴う転勤か、あるいは転職するか。ホンダとの合併も流れてコスト削減せざるを得ないってことですかね。
石塚
時代の流れと言ってしまえばそれまでですけど。企業城下町そのものじゃないですか、追浜って。日産の大工場で持っていたから。
安田
そんな大工場が無くなっちゃって地元経済は大変ですね。
石塚
覚えてますか?2000年にカルロスゴーンが日産の厚木工場も閉めて。
安田
石塚
はい。当時の厚木という街は日産で食ってる人が多かったんですけど。もう歴史は繰り返すって感じですよ。
安田
石塚
いえ、日産の問題です。だってトヨタは絶好調じゃないですか。
安田
石塚
一言で言うと売れる車を作れなかったってことですよ。
安田
なぜ作れないんですか?昔はいい車もいっぱいあったと思うんですけど。
石塚
日産って「自動車業界は我々がリーディングカンパニーだ」って未だに気位が高いんですよ。
安田
自分たちがリーダーだと思ってるんですか?この業績で。
石塚
日本の自動車の歴史って、振り返るとこの会社から始まってるんです。
安田
石塚
トヨタは後発企業です。スカイライン、ブルーバード、常に日産が先行してトヨタが追う形だった。
安田
石塚
安田
石塚
想像つかないですよね。「技術の日産」と言われて、先駆的な技術を次々と開発してきた。要するに日本のリーディングカンパニーだったことは事実なんですよ。
安田
石塚
安田
石塚
「いい車を作れば売れるんだ」という考えが強すぎるんです、日産は。
安田
石塚
いやいや。見せ方とか、マーケティングとか、コスト意識とかが大事で。日産はそういう意味で内向きですよ。
安田
石塚
いや、それも下がってきたイメージですね。自動車メーカーって切なくて、新車が売れないと8年間負け続けると言われています。
安田
石塚
新車が売れないと中古車市場でも買い取り価格が安い。結局それが8年ぐらい負けて負けて負けてって悪循環になる。
安田
厳しいですね。最終的に日産はどうなると思いますか?石塚さんの予想では。
石塚
どこかの企業に結局ごめんなさいして、くっつくことになると思います。
安田
石塚
おそらく外資ですね。国内はプライドが許さないでしょうから。日産は何がダメって、経営者がダメだと思います。
安田
ネットでも経営者が叩かれてますけど、何がダメなんですか?
石塚
たとえばスズキ自動車って、創業社長は亡くなりましたけど「うちの強みはどこで、どこに特化して、世界のどのマーケットで勝負するんだ」ってのが明確なわけですよ。
安田
インドで軽自動車を広めるって、当時としてはすごい発想ですよ。
石塚
すごいですよ。創業者の鈴木さんがものすごい交渉上手で。クライスラーやインドのトップを向こうに回して、着々と台数を増やして、提携がとても上手でした。
安田
石塚
そうです。グローバルを見てどこのマーケットを攻めるのか明確に決める。日産はそこがダメだったってことですよ。
安田
ゴーンさんは電気自動車とか自動運転とか、時代の先を行ってた気がするんですけど。
石塚
はい。問題はありましたけどカルロスゴーンはあらゆることを立て直した。それなのに何をやってんだろうなっていう。
安田
次はどこと組むんでしょう。フォルクスワーゲンあたりでしょうか。
石塚
フォルクスワーゲンとくっついたら下請け工場にされて終わりですよ。高値売り出来るとしたら無人運転技術ですね。ここはすごい技術なので。
安田
レンタカーで日産ノートを借りた人が言ってました。自動運転がすごかったって。
石塚
そうなんですよ。問題はその技術をどこに高値売りするか。
安田
石塚
それは100%無いと思います。メルセデスのグループに売りたいんでしょうけども。
安田
ホンダの下請けよりメルセデスグループになりたいと。
石塚
ホンダごときバイク屋になんで俺たちが頭下げなきゃいけないんだって。くだらない話ですよ。
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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。
安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。