1/2の日本

少子化が加速すれば40年後には日本の人口が半分になると言われている。今年生まれた赤ん坊が40歳になる頃、現在10歳の子が50歳になる頃には、国の形が根底から変化しているということである。移民や少子化対策によって多少伸びることはあっても、確実に訪れる未来であることは間違いない。

人口が半分になるということは、労働者も消費者も半分になるということである。この現象を均等に企業に当てはめるとどうなるか。全ての会社の売上が半分になる。全ての会社の社員も半分になる。規模も収益も半分になるが人件費も半分になるのでバランスが取れる。ミニチュア日本の出来上がりである。

もちろん現実にはこんなことは起きない。人は均等には減っていかない。今より多くの人を抱える企業も当然出てくる。反対に、社員がほとんどいなくなる会社も山のように出てくる。従業員が減っても業績が下がらない会社も出てくる。AIをフル活用したDX化で一人当たりの生産性をどんどん高めていく。

一人も従業員を雇わない会社も出てくるだろう。だがマジョリティではない。圧倒的多数の会社はAIと人間とのハイブリッド型になるだろう。人間を増やすことによって業績を拡大するのではなく、できるだけ人間を増やさずに業績を拡大し続ける企業スタイル。これが社会のスタンダードとなっていく。

人間はAIとタッグを組みながら生産性を高め続けていく。仕事は決してなくならない。人口が半分になった社会では人間はとても貴重なのである。スマホから欲しい情報を自由に取り出す現代人のように、AIを活用するスキルは特別なものではなくなるだろう。誰でも簡単にAIを使った仕事ができる未来。

生産性はどんどんアップする。企業は最低限の人しか雇わないが、少ない人材に多くの報酬を支払うことが可能になる。労働者が勤務先を選ぶ最大のポイントは生産性になるだろう。どの会社のどういう仕事が自分の生産性を最大化してくれるのか。ポテンシャルを極限まで引き出す会社が人気企業となる。

本人のやる気や努力という指標は消えてなくなるかもしれない。やる気も努力も必要ない。一人ひとりの生産性を最大化する仕組みが会社側に求められる。それを実現できない会社には人が集まらなくなるだろう。すべての人が適材適所に組み込まれ最大のパフォーマンスを発揮する。夢のような未来がくる。
 

 

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1件のコメントがあります

  1. 今日のコラムは、私もずっと昔から考えてました。

    人口減少の話は古田?さんの本で読んで、確かに人工動向はどうしようもないので、人の幸せ感はどう変わっていくのだろうと思ってました。

    大量生産で安く物が手に入るから、快適に便利になる、という価値はまもなくなくなる。

    多分、人が人に行う、自分にだけのサービスが価値を持つ時代になる気がしてます。
    もう一軸は、生活必需が0に近づき、
    消費のほとんどがエンターテーメントを極めること、に。
    エンターテーメントは、より、私という客に細分化されたサービス。

    そんなこと考えてます。

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