第144回 労働時間の規制に意味はある?

この対談について

株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。

第144回 労働時間の規制に意味はある?

安田
一昔前の日本人って、世界の人から「エコノミックアニマル」なんて呼ばれるほど働きまくっていたわけじゃないですか。ところがここ数十年で、日本は先進国で一番働かない民族になっちゃったように思うんですよね。

鈴木
あぁ確かに。とは言え、2025年の新語・流行語大賞の年間大賞が、高市総理の「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」でしたけど(笑)。
安田
そうでしたね(笑)。ちなみに経営者である鈴木さんがビジネスをモデルを考える時、そのあたりってかなり気になるんじゃないですか?

鈴木
うーん…正直なところ、そうですね。働いていい時間がここまでキッチリ決められてしまうと、なかなかね。
安田
法律的に「1日に働いていい時間はこれだけ」とか「週にこれだけ休ませないとダメ」とかって決められていますもんね。それを超えると違法になっちゃうわけで。

鈴木
そうそう。でもそもそも「働かせすぎの基準」って誰が何をもとに決めているんやろうとか思いません?(笑)
安田
本当ですよ(笑)。確かに昔は社員の立場が弱かったから、ある程度の働き方は法律で決めておかなきゃいけなかったのかもしれない。でも今は転職は普通のことじゃないですか。働きたい人はたくさん働ける職場に行けばいいし、短い時間しか働きたくない人はそういう職場を選べばいいだけなんですよ。

鈴木
同感です。働く時間や休日を、法律で一律に規制する必要はないんじゃないですかね。僕は個人の自由意志を尊重してあげていいと思います。
安田
ちなみに今の若者って「ウチは労働時間は長いけど、その分給料はすごく高いよ」っていう会社と、「これくらいしか稼げないけど、勤務時間は短いですよ」っていう会社だったら、どっちを選ぶと思いますか?

鈴木
すごい2択だなぁ…。人によるとしか言えませんけど、多くの若者は「短時間勤務で高収入」を探そうとするんじゃないですか(笑)。
安田
それはそうでしょうね(笑)。でも単純に考えて、同じ仕事であれば長く働けば働くほど稼げるのは当たり前のことで。例えばトラック運転手さんだったら8時間よりも10時間勤務していた方が当然稼げる。

鈴木
そうやね。若いドライバーさんだったら、どんどん働いてどんどん稼ぎたいって思うでしょう。…いや、今の時代はそうでもないのか。
安田
人によるんでしょうけど。「稼ぎたい人のために、たくさん働けるようにします」としても、ガツガツ働く層はそこまでいないんじゃないかと。

鈴木
ワーク・ライフ・バランス」という言葉があるくらいですからね。仕事は仕事、遊びは遊び、としっかり切り分けて考える人が多いのかもしれない。とは言え僕は、何の経験もない20代の頃こそ、仕事か遊びのどちらかに思いっきり偏る時期があってもいいと思うんですけどね。
安田
鈴木さんは20代の頃は散々遊んだんでしたっけ?(笑)

鈴木
遊びました(笑)。仕事もせず、ずっとバイクレースばかりやってました(笑)。自分自身の経験を踏まえても、きっと「ガンガン働きたい」って人は3割くらいしかいないんじゃないですかね。
安田
あぁ、そんなに少ないですか。「会社員=雇われている状態」だと楽しくないというのもありますかね? 上から言われた作業をこなしているだけでは、生活全部を全振りできるほど「仕事」に情熱を傾けられないというか。

鈴木
それはあるでしょうね。だから経営者としては、そういう人たちが少しでもやる気を出してもらえるビジネスモデルを考えたり、社員の夢を実現できるような環境を作ったりしなきゃいけないわけです。
安田
そこまでお膳立てしなきゃ、人材も集まらないし働き続けてもらえない時代になったということですね。でも経営者の本音としては、「もっとガツガツ働きたいです!」っていう人と仕事したいでしょ?(笑)

鈴木
当然ですよ(笑)。嫌々働かれても、こっちも嫌ですもん。もっとも、経営者が売上とか効率ばかり気にして、働いていても楽しくない職場にしてしまっているケースもあるのかもしれない。
安田
確かにね。ちなみに鈴木さんが、いつか経営者になりたい若いサラリーマンにアドバイスするとしたら何を言います?

鈴木
「副業」を勧めると思いますね。なんでもいいから本業と別の仕事をやってみたら、と。
安田
いきなり経営者になるのは難しくても、まずは「自分で稼ぐ」という体験をしてみろ、と。

鈴木
そうそう。自分でやってみることで「こんなことまで考えなきゃいけないのか」って気付ければ、たとえ雇われ社員でも、仕事とか働くことに対するマインドが変わってくると思いますから。
安田
なるほどなぁ。今の20代の中には「ガツガツ働きたい」って思う層も増えてきているらしいですし、今後、日本人がまたどういう働き方に様変わりしていくのか見守っていきたいですね。

対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役

株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

Twitter  Facebook

1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

感想・著者への質問はこちらから