先日、人工知能の専門家って人と対談しまして。
AIの専門家ですか。
はい。インターネットの次は、人工知能とうまく付き合える人が成功者になるそうです。
でしょうね。
で、面白かったのが、アバター的なインターフェイスが出来るんじゃないかという話。
アバターですか?
はい。アバターってご存知ですか?ゲームに出てくる自分の分身みたいなやつ。
はい。知ってます。
欧米では音声をインターフェイスにしようとしてるみたいで。
ですよね。スマートスピーカーとか。
はい。欧米はクルマ文化なので、声と耳を使うインターフェイス。
で、日本はアバターが出てくる可能性もあると。
はい。自分のアバターをインターフェイスにして、ネットの世界に入って行く。面白いですよね。
まさしくオタクの世界ですね。
テレビの中の人って、素顔とは別に、芸能人としての顔があるじゃないですか。
はい。
あんな感じで、ほぼ全員がWebの中に「もうひとつの顔」を持つようになる。
別人格ってことですよね。日頃のリアル社会とは違う。
そうです。そこに人工知能がくっ付いて、どんどん成長して行くわけです。
でも、要は自分ってことでしょ?アバターだから。
Webの中のもうひとりの自分みたいな感じなんですけど、人工知能がついてるのでちょっと違うわけです。
それはどのように?
たとえば自分が寝てる時にも活動してくれたり。自分の代わりに勉強しておいてくれたり。
それこそ映画の「アバター」みたいですね。
はい。ひとり1アバターの時代。
でも、それって何が楽しいんですか?
たとえばツイッターとか。酔っぱらって変なことを書いてしまうときに、ちゃんと止めてくれたり。もうちょっとわかりやすい言葉で発信してくれたり。
良きパートナーみたいな。
そうそう。そんな感じです。そのパートナーをどう育てていくかで、人生が変わる。
人間は勉強嫌いなので、社員の代わりにアバターに勉強させるとか。
そうなんですよ。アバターにアポ取らせるとか。企画書を作らせるとか。
もはや本体の方は、あまり関係がないですね。
アバターがめちゃくちゃ優秀だったら、勝手にアポイント取って、勝手に営業成績を伸ばしてくれる。
いいですね。欲しいです。そんなアバター。
そういう時代が近いんじゃないかと言われてます。でもそうなってくると、書き込みとか風評被害ってどうなるんですかね?
この前、ある大学教授と話したんですけど。ネットの書き込みが、どんどんひどくなっていくのは「相手の顔が見えない」という要素があると。
それは絶対にありますよ。
なので、これ投稿したら「相手がこんな悲しそうな顔する」みたいな、それこそアバターができたら、抑止力になるかもしれません。
確かに。アバター同士の方が、健全なやりとりになるかもしれませんね。
人間みたいにドロドロしてませんからね。
たとえば出会い系サイトとかも、アバター君どうしが先に話をつけた方が健全かもしれませんね。
いろんな相性もわかるし、その方がちゃんとした出会いになるんじゃないですか。
そういうサービスってないんですか?
聞いたことないですね。でも、直接コミュニケーションを取りたくないっていう人、多いですからね。
増えてる気がしますね。
会うのは嫌、電話も嫌、メールにしてください。みたいな。
いま流行ってる「退職の代行サービス」もそうですよ。本人は辞めたいけど「辞める」って直接言えない。
面倒くさいんでしょうね、やっぱり。
面倒くさいんですかね。
言えなくはないけど、やっぱ面倒臭い。男女間の別れ話とかでも「今日言わなきゃ」「今日言わなきゃ」「今日も言えなかった」みたいな(笑)
そういう人いますもんね。一定数。
たくさんいると思いますよね。とくに悪い話とか、相手をがっくりさせてしまう話とかが苦手な人。
でも会社の悪口とかは平気で書くんですよね。
ですね(笑)
ちなみに会社の悪口を書く人って、辞めたあとに書くんですか?
どちらもいますけど、多いのは辞める前ですね。
辞める前に書くんですか。
転職活動するときに書いちゃうんですよ。
それはなぜ?
いま自分が働いてる職場の情報を書かないと、他の情報がタダで見れないから。
そんなシステムになってるんですか!
はい。「もうこの会社辞めようかな」となった時に、在職しながら情報を交換して、転職活動していくっていう。
じゃあ転職サイトに書かれるのがいちばん多いんですか?
「転職会議」とか「Vorkers」とか「キャリコネ」とか。「内部告発を奨励します」っていうスタンスの会社があるので、そういうところに書きます。
「いや、これは事実じゃないよ」っていうことでも、消してもらうのは難しいんですか?
いまはもう消してくれません。「個人の意見なので消せません」という立場。
なぜそんな強気なんですか。
企業と相当数裁判で争ってるんですよ。で、転職会議がどんどん勝っていったので「消さなくていいじゃん」みたいになった。
裁判で勝てるのは、「事実じゃない」って認定するのが難しいからですか?
難しいですね。
本人がパワハラと感じたら、もうそれはパワハラだと。
そういうことです。いきなり電車で手をつかまれて「この人痴漢です!」ってやられたら、痴漢してないって証明できない。
それと同じだと。
会社は「パワハラしてません」って主張しても「じゃあ、パワハラしてない証拠を出しなさい。そしたら消してあげます」となる。
転職会議の側も、そういう「ちょっと過激な書き込み」を増やしたいんでしょうね。
増やしたいと思いますね。
だから、できるだけ消したくないっていう。
そうなんですよ。
やっぱりアバターくんじゃないですかね。
アバターくん?
もう、部下とか上司とは直接やりとりしない。お客さんも含めて、やりとりは全てアバターくんがする。
そしたらパワハラもセクハラも起こらないと。
仕事だってもっとスムーズに進みますよ。
余計な根回しとか会議もなくなりますね。
はい。いい事だらけです。
でもそうなったら、本人は何するんですか?
アバターくんに指示されたことだけ、やっとけばいいんです。
どっちがアバターかわからないですね(笑)
・・・次回へ続く・・・