人間交換日記 124通目「いつ真剣に耳を傾けたでしょうね?」大野

人間交換日記

「すべての人は、すごい可能性を秘めている」と信じる大野と、「多くの人は目的などなくただ存在しているだけ」と断ずる安田。人間の本質とは何か。人は何のために生きているのか。300文字限定の交換日記による言論バトル。


124通目/大野からの返信
「いつ真剣に耳を傾けたでしょうね?」

どの声に従って生きていっているのか?の自覚があるのならそれでいいでしょうね。そのままでいい。ありのままでいい。耳障りはとてもいい。それでも何か違和感を覚える。気づいたらいつの間にか目には見えないが確かに感じる枠の存在。そしてその枠を越えようとしたくなる衝動。肩の力を抜いて楽に生きる考え方とやり方はGoogle教授に聞けば誰でも心得知ることができる時代。それでもそこに居座れない。もがく。もがき続ける。憧れに向かって。喉の渇きによく似た憧れ。僕たちは、果たして自分の内側の声は自分自身に向かって何を言っているのか?いつ真剣に耳を傾けたでしょうね?って自分に聞くこともできる。

前回123通目/安田「かわいいヤツ」

大野さんへ

水の如し人生ですか。素晴らしいですね。そこら中にあるけど生きていくには不可欠な存在。そういう人で溢れると世の中は素敵なものになるのでしょう。でもなかなか人間は水のようにはなれませんね。四角い器に入ってるのに意地を張って丸いままいようとしたり。それで形がくずれて丸ですらなくなってしまったり。恩恵を与えるよりも与えてもらおうとするし。やたらと高いところへ行きたがるし。水とはおよそ正反対。神の作りし自然の法則にひたすら歯向かっていこうとする存在。でも私は人間のそういう部分も好きですね。つまらない意地を張ったり。やたら他人の目を気にしたり。もしも人間がペットならなかなかかわいいヤツですよ。

ー安田佳生より

 

前々回122通目/大野「上善は水の如し」

安田さんへ

普通の人では会社を潰せません。そこまでの会社を作れないですから。つまり、そこまで築き上げた人だから潰せるとも言える。そして、どの局面においてもいっときの状態にすぎない。今頂点だとしてもどん底だとしてもいっときの状態。どちらも未来を保証し得ない。保証された人生などのぞみたくもない。ほぼ何も持たない時こそ偉そうに言うべき。多くを与えられ始めたら注意が必要。老子曰く水は四角い器なら四角に丸い容器なら丸になる。また、万物に恩恵を与えながら自分は常に低い位置へと。それでいて急流ともなれば岩をも押し流す屹立した意思を内に秘める。蒸気にもなり氷にもなる。自由自在なその在り方は無為にして成す。僕の憧れです。

ー大野より

 

これまでのやり取り

交換日記をする二人



火曜日
安田佳生(やすだ よしお)

1965年生まれ、大阪府出身。
2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

●金曜日
大野栄一(おおの えいいち)
株式会社一番大切なこと 代表取締役
https://ichibantaisetsunakoto.com/
https://www.sugoikaigi.jp/coach/eiichiono/

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