第50回 手段が目的を凌駕する

このコンテンツについて
自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

【手段と目的】

「手段を目的化してはいけない」
「手段と目的を混同している」
よく聞く言葉です。

この意味するところは、
大きな目的の達成のために、
選んだ方法や手段のはずだったのに、
いつしか手段の実行を
目的にしてしまうことです。

選挙の達人になってしまう、政治家。
とにかく登録者を欲しがる、ユーチューバー。
人気企業の内定が欲しくて、就職活動する学生。
なにが手段で、なにが目的なのか、
よくわからない例はいくらでも出てきます。

「手段を目的化してはいけない」というのは、
目的は最重要事項なので、
手段を目的化しては元も子もない
という先人の教えです。
しかし、最近はこの図式も
変化しているように感じます。

【手段から目的ができる】

私は販促の仕事を請け負っています。
なので、手段の提供をしていることになります。
例えば、
「この新商品を売り出したい」
「オンライン販売に移行したい」
のような決まった目的から依頼を受け、
プランニングしていくのが普通でした。

しかし、最近は手段ではなく、
目的そのものを探す相談を
受けることが多くなりました。

例えば、
企業の業務システムや販売データ、
そして、営業の仕組みから、
新しい目的を見つけ、
商品や組織、販売コンセプトを
提案して欲しいという依頼です。

なぜ、こんな依頼がやってくるかというと、
世の中の多様化によって、
全体ニーズがよくわからくなってきたこと。
そして、
お客様の声を集めて目的を明確化するよりも、
データ分析するほうが、
安く効率的というのが、挙げられます。

「手段から目的を抽出する」
という世の中になっているのです。

【目的にこだわるのは時代遅れ】

手段にこだわってしまうあまり、
目的をないがしろにしてしまうのは、
手段が目的化するので問題です。
しかし、
目的が明確にならない世の中は、
手段から目的を探らなければいけません。

そう考えていくと、
選挙に強い政治家。
登録者数の多いユーチューバー。
人気企業に入った就活生。
手段か目的かよくわからないとしても、
正しい努力をしている人となります。

ただし、
ずっと目的を探し続ける必要はあります。

経営者や起業家は目的を明確化し、
それを達成するために、
あらゆる手段をつかいながら、
社会を変えていくものだ。
と、私は信じていました。
どうも、それは勝手な思い込みのようです。

社会を変えていく手法を知っている人が、
経営者や起業家になる。
そんな時代に私達はいます。

 

 

著者の他の記事を見る


- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
「自分が商売できないのに、人の商品が売れるはずがない。」と勝手に思い込んで、モロッコから美容オイルを商品化し販売しています。<https://aniajapan.com/>
売ったり買ったり、貸したり借りたり。所有者や利用者の「出口」と「入口」を繰り返して、商材を有効活用していく。そんな新規マーケットの創造をしていきたいと思っています。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

感想・著者への質問はこちらから