第22回 中小企業で「年収1000万円」を目指せる会社

この対談について

大阪・兵庫を中心に展開する、高価買取・激安販売がモットーの『電材買取センター』。​​創業者である株式会社フジデン代表・藤村泰宏さんの経営に対する想いや人生観に安田佳生が迫ります。

第22回 中小企業で「年収1000万円」を目指せる会社

安田

藤村さんはいつも「社員の給料をアップさせたい」と仰ってますよね。どうしてそこまで「給料を増やす」ことにこだわるんですか?


藤村

だって、給料は安いより高い方がいいでしょう? 皆が当たり前に感じているそういう期待に応えたいだけです。

安田

いやもちろんその気持ちはわかりますけど、皆それがなかなかできないんですよ(笑)。


藤村

うーん、そうですかね(笑)。「出せる」か「出せない」かで考えるからできないんだと思いますよ。まず「出す」と決めて、それから「その分の原資をどう作るか」を考えればいい。安田さんもいつも仰っているじゃないですか(笑)。

安田

まぁそうなんですけど(笑)。ただ一般的には「とはいえ無い袖は振れないよね」と考えられているんです。でも藤村さんは、かなり無理をしてでも給与を増やそうとするじゃないですか。どうしてそこまでできるのかなと。


藤村

そうですねぇ。だって今の給与に不満があったら、社長が言う「5年後のビジョン」とかにも興味わかないじゃないですか(笑)。まずは今の納得感。それがあるからこそ、「頑張った先にはもっといい未来があるんだ」と信じられるわけで。

安田

なるほどなぁ。ちなみに直近の目標は「新卒の給与を30万円に」だって仰ってましたけど、全体としてはどこまで上げていこうと考えていらっしゃいます?


藤村

一言で言えば、「大企業並み」ですね。

安田

ははぁ…これまたすごいですねぇ(笑)。大企業並みということは、社員の平均年収が1000万円を超えるくらいですか?


藤村

さすがに社員全員が1000万円というのは難しいかもしれませんが、40歳の時には1000万円はもらえる会社じゃないと、夢もなにもないなと思っています。

安田

なるほど。だから前回の対談でも仰っていたように、どんどん新店舗を出店して、増収増益を目指しているわけですね。でも普通の経営者さんならね、自分と同じかちょっと下くらいの会社の給与を基準にするじゃないですか。あくまで「大企業」と張り合うのはなぜなんです?


藤村

そりゃ、社員さんたちは当たり前に大企業の給料と比べるからですよ(笑)。自分の会社よりも小さい会社と比べて「あ~自分の方が幸せ~」なんて誰も言わないでしょ(笑)。

安田

そりゃそうですけど(笑)、でも厳しい言い方をすれば、大企業に入れなかったのは本人の努力が足りなかったからとも言えるじゃないですか。それなのに藤村さんの方から、わざわざ大企業の給料に寄せていく必要はあるんですか?


藤村

うーん、それをするのが社長の責任やと思っているんでしょうね。そもそも今後は確実に最低時給は上がっていくわけでしょ? それなのに「ウチは中小企業だから給料は上げへん」って言ってるようではダメなんです。それは社長失格ですよ。

安田

つまり藤村さんにとっては、「お金がないからできない」というのは言い訳なんだと。じゃあちょっと意地悪な聞き方をしますが、仮にこの先『電材買取センター』のビジネスが頭打ちになったら、どうします?


藤村

儲かりそうな新しい事業を考えます。それでまた社員の給料も増やしていきます。

安田

へぇ、そこは潔く新事業に切り替えるんですね。


藤村

ええ。だって僕、今の事業には全くこだわりがないので。極論、社員にちゃんと高い給料を払えるならなんでもいい。

安田

ははぁ、なるほど、一貫してますね。それに中小企業は実際、社長がその気にさえなればいくらでも新規事業にチャレンジできますもんね。


藤村

そうそう。それに周りを見ていても、人件費を抑えて利益を出そうとしている会社って魅力が無くなっていくんですよ。僕はそうなるのは嫌なんですよね。

安田

なるほどなぁ。藤村さんのお話を聞いていると、これからは「社員の給料をいかに増やしていくか」ということを考えられる社長のところにしか、人は寄ってこないんじゃないかと思います。


藤村

同感です。あとは、社員本人だけでなく、社員の家族や友達にも「あんた、いい会社に入ったね〜」って言ってもらえるようにすることこそ、社長の仕事なんやろうなと。

 

 


対談している二人

藤村 泰宏(ふじむら やすひろ)
株式会社フジデンホールディングス 代表取締役

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1966(昭和41)年、東京都生まれ。高校卒業後、友禅職人で経験を積み、1993(平成5)年に京都府八幡市にて「藤村電機設備」を個人創業。1999(平成11)年に株式会社へ組織変更し、社名も「株式会社フジデン」に変更。代表取締役に就任し、現在に至る。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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