第31回 成功の鍵は「好き」よりも「得意」にあり

この対談について

大阪・兵庫を中心に展開する、高価買取・激安販売がモットーの『電材買取センター』。​​創業者である株式会社フジデン代表・藤村泰宏さんの経営に対する想いや人生観に安田佳生が迫ります。

第31回 成功の鍵は「好き」よりも「得意」にあり

安田

藤村さんが事業をするにあたって、とにかくたくさん社員に給料を払うのが目的だと仰ってましたよね。だから儲からなくなったら、別の儲かる事業を始めるだけだと。


藤村

そうですね。それが社長の仕事だと思ってます。

安田

逆に言えば、「儲かって社員に給料がたくさん払えるならどんな事業でもいい」というスタンスなんですか? あるいは、「どんなに儲かるとしてもこういう事業はやりたくない」という線引きがあるのか。


藤村

うーん、というより、今自分たちがやっている事業の延長線上でしかやれないと思いますね。だから儲かる事業があったとしても、その線上にないものには手を出しません。もっと言えば興味がわかないんですよ。

安田

ほう、なるほど。例えば少し前に流行った「高級食パン屋さん」のような事業には、飛びつかないと。


藤村

そうですね。そういう話を聞いても、全くうらやましくもないし、やろうとも思わない。もっと今自分たちがやっている事業の周辺にあるビジネスで勝負したいんですよね。

安田

なるほどなるほど。その方が成功確率も高いでしょうしね。


藤村

そうそう。それに全く縁のないビジネスだと、うまく行かないときに「粘れない」んですよ。「思ってたのと違うな」とすぐやめてしまうんじゃないかと思うんです。商売にとって「粘れるかどうか」ってすごく大事だと思うので。

安田

ははぁ、なるほど。今の事業の周辺ビジネスだったら、粘れると。


藤村

ええ。より正確に言えば、「得意なこと」だったら粘れると思いますね。好きなだけだと、いつかは嫌いになるかもしれない。そう思うと、僕は「好きなこと」は商売にはできないですね。

安田

ふ〜む、普通は「好きだから粘れる」っていう方向に行くと思うんですけど、藤村さんとしては「好きより得意を選ぶ」と。そして得意なことであれば、すぐに結果が出なくても粘れるという。


藤村

そうですそうです。恋愛でもそうでしょ? あんなに好きだった人を些細なことで大嫌いになっちゃったりするじゃないですか(笑)。

安田

笑。まぁ、感情は変化しますからね。確かにそう考えると、好き嫌いは変化するけど、得意なことは急に苦手になったりしませんもんね。


藤村

そうそう。だから得意な分野で商売をするのが一番いいと思うんです。「得意」と「好き」が重なってたら最高ですけど、そんな都合のいいことなかなかないので。だったら得意なことを地道にやってくのがいいんですよ。

安田

なるほどなぁ。でも藤村さんの事業って、いろいろ移り変わってきてますよね。最初は引越し屋さんで、そこからエアコン工事工事する人の手配と。で、今は電材買取センターですもんね。全然違う仕事をやってるようにも見えるんですが、藤村さんの中では「得意なことを活かした事業」の変遷ということなんですよね。


藤村

そうですね。商売ってずっといい状態が続くわけじゃないので、常に周辺の事業でチャンスを探している。いつか今の事業がダメになった時のために、事業領域を変えられる準備を常にしているというか。

安田

ふーむ。ということは、今やっていることの周辺にあるビジネスが、藤村さんの得意領域だと考えているわけですね。


藤村

そうですね。もう知ってる領域だからこそ、「いざという時になんとかできるんじゃないか」と思うんです。全く知見のない領域だと、うまくいかなかったら立地のせいにしたり、お客さんのせいにする気がして。

安田

なるほど。確かに今までやっていた事業と近い方が、自分の経験や知識を活かして成功できそうですもんね。ただね、さっき言った藤村さんの事業遍歴を見て「なるほど確かに周辺事業だ」と思う人はあんまりいないんじゃないかなぁ(笑)。


藤村

そうですか? その時々の「もっとこうだったら便利だな」ということを実現していってるだけなんですけどね。エアコン工事をしながら「何でも無料でレンタルしてくれるところがあったらいいな」とか、「めったに使わないような道具はその都度借りれたらいいな」とか。

安田

ああ、なるほど。事業内容として近しいというより、業界内のリアルなニーズに即したビジネスってことなんですね。


藤村

ああ、そうですね。業界のお客さんに喜ばれるサービスをどんどん増やしていけば、いつかは商売になるんじゃないかなと思って。

安田

ははぁ。そう言われてみると、事業遍歴にも納得感があります。こうやって手配すれば工事を請け負う人が喜ぶんじゃないか、こういう商品が仕入れられて、さらに余った時に売れたら工事する業者さんも嬉しいんじゃないか。そうやって新しいビジネスに繋げていっているわけですね。


藤村

ええ、まさに仰るとおりです。

安田

なるほどなぁ。一見、どれもバラバラなビジネスに見えるというか、儲かるなら何でもやるのかな、という感じもするんですけど、実は全然違うわけですね。むしろそこは手堅いと。


藤村

そうですね。商売をやる上で、儲けることは絶対必要ですけど、「粘れる事業かどうか」という視点が大事だと思います。

 

 


対談している二人

藤村 泰宏(ふじむら やすひろ)
株式会社フジデンホールディングス 代表取締役

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1966(昭和41)年、東京都生まれ。高校卒業後、友禅職人で経験を積み、1993(平成5)年に京都府八幡市にて「藤村電機設備」を個人創業。1999(平成11)年に株式会社へ組織変更し、社名も「株式会社フジデン」に変更。代表取締役に就任し、現在に至る。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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