第32回 12年連続増収の秘訣は「粘り」にあった!

この対談について

大阪・兵庫を中心に展開する、高価買取・激安販売がモットーの『電材買取センター』。​​創業者である株式会社フジデン代表・藤村泰宏さんの経営に対する想いや人生観に安田佳生が迫ります。

第32回 12年連続増収の秘訣は「粘り」にあった!

安田

前回のお話では、新しく事業を始める時には、「粘れるかどうか」が大事ということでしたね。


藤村

ええ、そうですね。最近は皆「やめどき」を考えすぎている気がするんです。1〜2年やってみて、うまくいかなかったらすぐやめてしまう。

安田

ああ、確かに。藤村さんは結果がすぐに出なくても、電材買取センターを続けてましたもんね。


藤村

そうそう。まさに粘りました(笑)。新しく店舗を出すときも同じで、ここに店を出して粘れるかどうかが大事なんです。社内的な基準でいうと、「一番店になれるかどうか」ですね。

安田

ん? それは既存店舗の中で一番店、ということですか?


藤村

仰る通り、今ある店舗の中の一番です。16店舗あるので、新しく出店するとしたら、17店舗中で一番になれるかどうか。

安田

へぇ、つまり地域の一番店ではなく、自分たちのお店の中で一番になれるかどうかが重要なんですね。


藤村

そうですそうです。うちのスタッフも、新しく店を出す時に、つい「車通りが多い」とか「他の会社も出店を狙っている」みたいな表面的な条件ばかり気にしがちなんです。でも僕が「一番店になれるのか?」と聞くと、途端に「あれ? ちょっと待てよ」と考えこみ始めるんですよ(笑)。

安田

ははぁ、確かに比較対象があると、条件に惑わされなくなるのかもしれませんね。そして、だからこそ「粘る」ことができるようになると。


藤村

まさに仰るとおりです。だから今ある店舗はすべて、「一番店になれる」という自負のもとでしか出店していないんです。そういう絶対的な目標が常にあるので、多少の赤字で諦めたりはしない。

安田

なるほどなぁ。とはいえ、必ずうまくいくわけでもないんじゃないですか?


藤村

それも仰るとおりで(笑)。もう1年目は全然ダメで、2年目でトントン、3年目でようやくちょっと黒字になるかどうかという感じですね。

安田

…あれ? ということは、実際にはどこも一番店にはなってないわけですか。


藤村

そうそう。なったためしがない(笑)。つまり本質的には「実際に一番店になるかどうか」はそこまで重要じゃないんですよ。「一番店になると決めて出した」という事実が必要なのであって、あとはその目標に向かってトライandエラーを繰り返していくだけ。

安田

ははぁ、なるほど。その「トライandエラー」こそが「粘り」だと。


藤村

その通りです! だからうちの新サービスって、全部新店舗から生まれるんですよ。「ヤバい、このままじゃ一番店になれないぞ、どうするどうする」っていっぱい頭を使うので。

安田

へぇ〜、おもしろいですね。新店が一番店になるために努力することで、新しいサービスが生まれると。


藤村

そうなんです。で、そのサービスがうまくいけば、全店に広がっていくので、新店を出すたびに事業全体がブラッシュアップされている感じなんですよ。その結果、新店舗が一番店にならなくても、全店舗の売上は12年連続で上がっている。

安田

すごいですね! …でも藤村さん、ということは「新店舗を一番店にするぞ!」っていう目標はポーズだということですか? 実はそんな風には思ってないけど、そう言っているだけというか。


藤村

いやいや、毎回本気で「いける!」と思って出すんですけどね(笑)。16回中16回スベっているというか(笑)。でもさっき言ったように諦めはしませんから。少なくとも黒字になるまで必ず粘ります。より有利な立地の場所が見つかったら移転することはありますが、うまくいかなくて店を閉めたことはないです。

安田

なるほどなぁ。でも実際「粘り」って本当に大事ですよね。どんな商売でも、自分と家族が食べていくくらいは、徹底的に粘ればいけるんだと思うんです。逆にいうと、粘れない人はどんな商売をやってもうまくいかないんじゃないかと。


藤村

そうでしょうね。成功するにはトライandエラーが必要で、そこにはお金が必要だったりもする。でも個人的には、「無料でできること」をいくらやってもあまり意味がないと思っていて。だから社員にも「お金のかかる提案だけ持って来い」って言ってるんです。

安田

ああ、よくわかります。お金をかけないと大した改善はできないし、お金をかけるからこそ絶対に成功させるぞという覚悟もできる。同じ「粘る」でも、内容のクオリティが全然違ってくる気がします。


藤村

そうそう。赤字の店って、つまりお客さんから嫌われてるんだろうと思うんです。それをお客さんに好かれる黒字の店にするにはどうしたらいいかを考えて、予算をかけながら実践していく。それが大事なんだと思いますね。

安田

でも多くの経営者って、お金をかけずに何とかしようとするんですよね。赤字でお金がないから仕方ないじゃないかと言うんだけど、本当はそういう時ほどドカッとお金をかけて大転換をするべきで。


藤村

わかります。電材買取センターでも、どんどんお金をかけてどんどんお客さんを喜ばせていくことで成功してますから。お客さんに好かれる店にするには、やっぱりちゃんとお金をかけて改善し続けるべきだと思いますね。

 

 


対談している二人

藤村 泰宏(ふじむら やすひろ)
株式会社フジデンホールディングス 代表取締役

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1966(昭和41)年、東京都生まれ。高校卒業後、友禅職人で経験を積み、1993(平成5)年に京都府八幡市にて「藤村電機設備」を個人創業。1999(平成11)年に株式会社へ組織変更し、社名も「株式会社フジデン」に変更。代表取締役に就任し、現在に至る。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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