第35回 中小企業が見落としているシルバー人材の可能性

この対談について

大阪・兵庫を中心に展開する、高価買取・激安販売がモットーの『電材買取センター』。​​創業者である株式会社フジデン代表・藤村泰宏さんの経営に対する想いや人生観に安田佳生が迫ります。

第35回 中小企業が見落としているシルバー人材の可能性

安田

今日は「高齢者の雇用」について藤村さんのご意見をお聞きしてみたいなと。シルバー人材の活用ってすごく重要なんじゃないかと思うんですけど、中小企業の社長さんって、やっぱり若い人が好きなんですよね。


藤村

まぁ、60歳以上の人を積極的に採用する会社はまだ少ないでしょうね。

安田

そうなんですよ。でも大企業では、今まで定年再雇用で半分くらいに下げていた給料を、能力によっては上がる人も出てきているんです。つまり労働力不足を見据えて、シルバー人材の囲い込みを始めているわけです。


藤村

ははぁ、なるほど。…うーん、もちろんシルバー人材を活用できたら理想的なんですけど、個人的には正直まだあまりピンと来てなくて。

安田

60歳以上と一言で言っても、いろいろな人がいますからね。誰でもいいから雇おうって話じゃなく、あくまで「仕事ができる60歳以上」なんですけど。


藤村

それはもちろんそうでしょうね。ただそんな優秀な人が、うちに来てくれるんだろうか、という疑問もあって。しかも来てくれたとして、現場の仕事を文句なくやってくれるんだろうかと。

安田

管理職というよりは、現場の仕事をずっとやってきたような人がいいでしょうね。営業の第一線で働き続けてきた人とか、長年商品開発にかかわってきた人とか。


藤村

なるほど。今うちでシルバー人材の活用に力を入れてないのは、そういう人材にあまり出会えてないということなのかもしれません。世の中にはたくさんいるんでしょうけど、マッチングの問題なんかな。

安田

まぁもちろん同じスキルだったら若い人を選ぶのは当然だと思いますよ。とはいえ今の20代って、需給バランスを考えたら中小企業に入ってくれるだけでラッキーな存在なんですよね。選考なんてせず「20代なら即採用」とせざるを得ないというか。


藤村

確かに仰るとおりですね。

安田

でも60代だったら競争が激しくないので、いい人材を選べるわけですよ。60代の90%以上が働いてることを考えると、活用しない手はないと思うんです。


藤村

理屈ではわかるんですけどね。ただ、うちも含めてシルバー人材を積極的に採用してる会社って聞かないんですよね。

安田

やっぱり若い子がほしいってなるんでしょうか。20代は無理でもせめて30代前半とか。社長も若い子がいないと盛り上がらないのかもしれませんけど(笑)。


藤村

うーん、まぁ若い子がたくさんいると活気が出てきますからね。採用したくなるような60代って、どこで出会えるんでしょうね。

安田

私の周りでは、65歳以上で真面目に働いていて、会社からもすごく重宝されている人を何人も知ってるんです。年収も決して高くはないんですけど、会社に感謝しながら仕事をしている。


藤村

いるにはいるわけですね。そうなると、具体的なイメージがしにくいというのは、私自身の固定観念もあるんでしょう。

安田

前回の話にも出ましたけど、世の中の常識って本当に一瞬で変わりますから。シルバー人材に対する見方もガラッと変わるタイミングが来る気がしますよ。実際、75歳まで元気に一生懸命働ける人が増えていくと思うんですよ。


藤村

うーん、なるほど。ただ経験上、年齢が上がると扱いにくいようなイメージもあって。仕事を教える側の方が年下になると、やりにくさが出てしまったり。

安田

でもコンビニなんて、外人さんとシルバー人材ばかりですよ。日本人の平均年齢が50歳を超えようとしてる中で、会社の中だけ20代と30代というわけにもいきませんよ。


藤村

確かにそうですね。もしかしたら、ウチもどこかのタイミングで積極的に活用しようとなるのかもわかりません。どこかの店舗をシルバー人材だけにしたり。

安田

いいですね。儲かるシルバーショップができるかもしれませんよ。何より社会人としての常識がしっかり身に付いてますから。


藤村

それはありがたいですね。朝に強いでしょうから、寝坊もしないでしょうし。新しい店舗で実験的にやってみるのも面白いかもしれません。

安田

藤村さんの会社は全然若い人も採用できると思いますけど、今の時点で20代なんて採用できないという会社は早く切り替えた方がいいでしょう。


藤村

いやぁ、仰るとおりですね。今日のお話で、自分の固定観念が少し緩んだ気がします。

 


対談している二人

藤村 泰宏(ふじむら やすひろ)
株式会社フジデンホールディングス 代表取締役

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1966(昭和41)年、東京都生まれ。高校卒業後、友禅職人で経験を積み、1993(平成5)年に京都府八幡市にて「藤村電機設備」を個人創業。1999(平成11)年に株式会社へ組織変更し、社名も「株式会社フジデン」に変更。代表取締役に就任し、現在に至る。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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