第115回 関わる人すべてが喜ぶ「不労所得」の仕組み

この対談について

人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。

第115回 関わる人すべてが喜ぶ「不労所得」の仕組み

安田

今日は「不労所得」についてお話ししてみたくて。例えば金利や株、不動産の家賃収入とか、いろいろあると思うんです。


藤原

ええ。他にも著作権や配当なんかもありますね。

安田

そうですね。労働って「お互いの得意なことで価値を交換し合うこと」だと思うんです。でも権利収入となると、過去には頑張って仕組みを作ったのかもしれないけれど、中にはたまたま運がよかっただけというケースもありますよね。


藤原

確かに。先祖が頑張って残してくれた土地や建物の権利だけで、何もしなくても莫大なお金が入ってくるようなケースもありますからね。そういう意味では不公平感を生みやすい性質のものではあると思います。

安田

そうそう。そう考えると、不労所得って社会に不公平感を生む原因なんじゃないかとも思うんです。でも一方で、ずっと自分の時間を切り売りするだけでは体力的にしんどいので、ビジネスのどこかに不労所得的な仕組みを作っていくのは真っ当なアイデアとも言える。


藤原

それでいうと、不労所得の中にも大きく2種類あると思っていて。一つは、先祖が残した土地建物を管理会社に丸投げして、ごっそり手数料を抜かれたとしても使いきれないほどのお金が入ってくるような、本当の意味で労働が伴わない権利収入。

安田

まさに濡れ手に粟のような、自分ではしっかりと管理もコントロールもしていないのに入ってくる不労所得ですね。


藤原

そうです。もう一つは、自分が新たな種をまき、丁寧にメンテナンスし続けた結果として継続的な収入になるようなものです。我々が今得ている収入はこちらに近いですよね。

安田

なるほど。たまたま運よく入ってくる不労所得と、自分でしっかりとその仕組みを構築して関わり続けながら得ていくものとは、明確に分けて考えるべきだということですね。後者であれば、目指すべき真っ当なビジネスだと言えますね。


藤原

そうですね。自分の労働時間には依存しませんが、自分たちが丁寧に仕組みを作ったことによって生み出される収入というのは、経営者として目指していくべき姿だと思います。

安田

例えば自分で作った会社が大きくなって、創業者として配当を受け取ったり、創業メンバーが高い報酬を受け取るとします。立ち上げの時期はそれでいいと思うんですが、そこから20年、30年と経った場合はどうでしょう。


藤原

ああ、つまり時代が移り変わって、現場を支えているメンバーが完全に入れ替わっているような状況ですね。

安田

そうです。今の若手社員から見たら、「確かに昔は頑張ったんだろうけど、今のこの会社で利益を出しているのは僕らじゃないか」と思いますよね。それなのに上の人が「昔頑張って仕組みを作ったから」と権利収入のように取り続けるのはどうなのかと。


藤原

確かにそれは仰るとおりで。仕組みとして作ったのは創業者かもしれないけれど、今この事業から得られる収入は、現場で支えている方々によって成立しているわけですから。

安田

自分では頑張って作ってきた真っ当な仕組みのつもりでも、時間が経つにつれて、結果的に誰かから搾取するような不労所得に変わってしまっている可能性があるんじゃないかと。


藤原

そこで経営者や創業者の倫理観が問われるんでしょうね。個人的には、会社の成長に比例して、現場のスタッフがより多くの所得を得られるようにしていくべきだと考えています。

安田

そうですよね。でも若い頃ってなかなかそこに気づけないというか。私自身、25歳で会社を作った時には、自分が遊んでいても社員が働いて毎月お金が入ってくるような仕組みを作ろうとしてましたから。


藤原

若い頃は「楽して稼ぐ」ということに憧れを持ちがちですからね。

安田

ええ。でもそういう稼ぎ方はちょっと違うなと。会社が潰れてからは現場の仕事だけをやろうと決めてやってきたんです。でももう60歳になって再び不労所得的なものを考えた時に、「誰かが損をするような権利収入は絶対に駄目だな」という結論に行き着きまして。

藤原

全く同感です。誰かが犠牲になったり、不満を抱えたりするような仕組みの上に成り立つ権利収入は長続きしませんし、精神的にも豊かにはなれませんよね。

安田

そうなんです。例えば自分が作った仕組みで人が動いてくれることで、自分も報酬や配当を得る。と同時に、今参加してくれている人たちも、高い報酬が得られたりやりがいを感じられるような。つまり働いている人も心から喜んでくれる仕組みにしたいなと。

藤原

その結果としての不労所得であれば、大いにありだと思います。そういう仕組みがきちんと機能していれば、そこで働いている人たちも創業者が権利収入を得ていることに対して不満に思わないはずですから。

安田

自分が仕組みを作ったからと、「君達は労働者なんだから黙って働け」という発想はよろしくないですよね。特に今の日本は人手不足ですからそんなスタンスは通用しませんが、そもそも根本の思想として間違っている気がします。

藤原

資本家主義」的な発想ですよね。そういう環境では「仕事なんてお金のために最低限の労力でやるものだ」という考えが当たり前になってしまって、仕事に面白みなんて見出せるはずがありませんから。

安田

そのうちできるだけ楽して稼ごうとするようになってしまうんでしょうね。上の人にバレないように1時間サボって適当に時間を潰し、それなのにキッチリ8時間分の給料をもらうような方向に走ってしまう。

藤原

ある意味「搾取の不労所得」に対する、労働者側からの無言の抵抗と言えるかもしれませんね。不労所得であっても、その仕組みに参加している人が何らかのメリットを享受している状態を作らないといけないと思います。

安田

でも残念ながら、そういう理想的な仕組みになっている会社はほとんどないですよね。だからこそ、そこで働く人自身がその会社がどういう仕組みで回っているのかをちゃんと見極めないといけない。

藤原

本当にそうですね。参加している人たちが、仕組みを作った側にすごく感謝したくなるような組織を少しでも増やしていく。それこそが歪んだ資本家主義を打破する鍵になっていく気がします。

 


対談している二人

藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表

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1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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