人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第14回 経営トップと経営幹部の報酬差について

これ、ちょっとよくわからないんです。「経営トップと社員の報酬差」ならまだわかるんですが、なぜ「経営トップと経営幹部の報酬差」なんですか? ヒラ社員からしたら、社長も幹部も遠い存在な気がするんですが。

そうなんです。でも、現実的にはそういう会社はすごく多いと思いますよ。何度もトップが変わっている大企業や老舗企業ならまだしも、それほど歴史の深くない中小企業のほとんどは、オーナー社長のワンマン経営です。

そういうことです。決裁権は基本的に報酬と比例しますから、つまりそういう会社の場合、「社長と幹部の報酬差」は自然と開いていく。でもそれでは従業員のモチベーションは上がりませんよ、というのが私の主張です。

ああ、確かにそういう面もあります。そうやって権限を任せて、そのぶんしっかり報酬も上げていれば何の問題もありません。が、実際に聞こえてくるのは「責任ばかり負わされて、お金は全然もらえない」という話です。

社長の観点で考えれば、そう思うのも無理はありません。私自身も、社長自身がそう考えること自体を否定しているんではないんです。ただ端的に、「それでは従業員満足度は上がりませんよ」と言っているだけで。

そうかもしれませんね(笑)。でもね、私は世の中に「会社が儲かっているのに、あれこれ理由をつけてお金を下に配らない社長」が多すぎると思っているんです。「頑張りが見えない」とか「貢献度が足りない」とか言って。

ですよね。でも、「従業員のモチベーションを下げない」「もっとよりよい会社にしていきたい」と思うなら、会社で得た利益は従業員に分配した方がいい。それで社長の報酬が減ったとしても、会社という単位で見ればきっとその方が売上は伸びていくでしょう。

あくまでもイメージですけど、例えば社長が1000万の高級車に乗ってるとしたら、経営幹部は700、800万の車に乗ってる感じですかね(笑)。これくらいなら「社長と経営幹部の差がない」と言っていいと思います。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。