人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第39回 経営も商売も「非合理的で非論理的」な人間が相手

藤原さんのメルマガに「人間という非合理的で非論理的な、想定外の反応をする生き物を理解すると、会社経営はうまくいく」と書かれていましたよね。本当にその通りだと思います。ビジネスは牛を相手にするわけではなく、人間相手のものですから。

そうなんですよね。例えば髪型でいうと、せっかく真っ直ぐな髪なのにパーマをかけたり、いい感じのくせ毛なのにストレートにしたり。不思議な生き物ですよ人間は(笑)。旅行だってそうで、わざわざ地球の裏側まで行って、絵を見たり写真を撮ったりして帰ってくる。

そうそう。かと思えば、朝から晩まで一生懸命働いて体を壊したりしちゃったりね(笑)。そう考えると、藤原さんの仰るとおり人間は全然合理的じゃないんですよね。むしろちょっとおバカで感情で動く動物だと。

私が組織づくりに悩んだ時、組織診断などの論理的な方法も試してみたんです。でもそれだけでうまくいくということはなくて。理屈じゃない要素が必ず存在する。まぁ、そういう感覚的な話を嫌う経営者さんは多いでしょうけど。

結局、感情に動かされているんですよね。だからこそ感情に寄り添った方が商売もうまくいく。生きていくために必要な食事はワンコインで簡単に済ませて、パンケーキなどのおやつにより多くのお金や時間をかけていたりするわけですから。

確かに(笑)。ビジネスの世界だと、BtoCの世界は明らかにそういう要素が強いですよね。もっとも、BtoBの世界も同じかもしれない。会社の利益を考えるから皆合理的に考えて決めると思いきや、結局感情で決めてしまうことが往々にしてある。

ええ、まさにその通りだと思います。松下幸之助さんが松下政経塾を作った時に、「政治家に必要なのは、政策を学ぶことではなく、人間を理解することだ」と言っていますしね。

でも冷静に考えると、「あなた本気ですか?」という感じもする(笑)。そんな人が世界で一番のお金持ちなんですよ。結局は「人の心」なんだと思いますね。イチローや大谷選手だって、160キロの球を投げるとか、それを木の棒で打つことにどれほどの価値があるんだろうと(笑)。

確かに(笑)。でもそれを喜ぶ人がいるから、あれだけ多額の報酬を得ているわけですもんね。結局、ロジックと感情のバランスが大事なんだと思いますね。というか、ロジックの底辺に感情があることを忘れてはいけない。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。