第18回 ポスティングスタッフはアスリートを超える?

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第18回 ポスティングスタッフはアスリートを超える?

安田

今回は「ポスティングスタッフさんの採用基準」についてお話を聞かせていただこうと思います。採用のステップとしてはまず電話応募ですか?


中辻

いえ、ウチは基本的にメール応募をお願いしています。というのも、まずはメールの文面や履歴書の書き方で、どんな方なのかを判断したいので。

安田

ははぁ、なるほど。文章力やまとめ方を見ることで、ある程度レベルが測れると。


中辻

そうです。もちろん書かれた内容も重要ですけどね。履歴書にある職歴を見て、半月単位でコロコロお仕事を変えているような方は、やっぱり見る目が厳しくなりますね。

安田

そこは同じ仕事を長く続けている人の方がいいと。割と一般的な基準ですが、ポスティングスタッフにも当てはまるんですか?


中辻

そうですね。ポスティングって実はすごく根気のいるお仕事なので。仕事を頻繁に変えている方を採用しても、結局すぐに辞めてしまうんです。

安田

ああ、なるほど。ちなみに前回のお話では、ポスティングスタッフは必ずしも社交的である必要はないということでした。とはいえ、ある程度のコミュニケーション能力がないと、なかなか採用もできないと思うんですけど。


中辻

そうですね。反響をよく出してくれるスタッフが必ずしも社交的ではない、という話なので。社会人として最低限のマナー、トークスキルは必要です。

安田

それはそうですよねえ。


中辻

ええ。基本1人作業とは言え、住人の方から声をかけられることもありますし、配布前に管理人さんに許可をもらう必要があったりもしますから。

安田

特別明るい性格である必要はないけれど、一般的な社会人としての対応は必要だと。じゃあ、声をかけられて走って逃げちゃうような人はダメなんですね(笑)。


中辻

それは一番ダメです(笑)。

安田

いや、というのも、今ってすごく採用難の時代じゃないですか。だから全てにおいてパーフェクトな人なんてなかなか採用できないわけですよ。


中辻

ええ、そうですね。良い人材の採用はなかなか難しいです。

安田

ちなみに中辻さんだったら、「能力が高くてやる気がない人」と「能力は低いけどやる気はある人」、どちらを採用しますか?


中辻

ポスティングスタッフさんの採用でいえば、間違いなく後者です。というのも、ポスティングの仕事って奥は深いんですが、作業自体はすごく簡単で。

安田

確かに仕事の内容だけでいえば、地図を見ながらエリアを回ってチラシをポストに入れる。これだけですものね。


中辻

そうです。仕事に必要とされる「能力」は、やっているうちに自然と身につくんです。でも「やる気」は最初から持っていてくれないと、お仕事が続かないんです。

安田

なるほど。先ほども、根気がいる仕事だって仰っていましたものね。


中辻

ええ。ちなみに、どれだけ頭が良くてコミュニケーション能力や身体能力が高くても、今日初めてポスティングする人は、ベテランスタッフには絶対勝てないんですよ。

安田

へぇ、そうなんですか。ポスティングって、そんなに経験が重要なんですか?


中辻

めちゃめちゃ重要です!! なんなら経験が一番大事。オリンピック選手のようなすごい身体能力だけあっても、ポスティング歴の長い人には絶対に勝てません。

安田

絶対に? それはどうしてなんでしょうか?


中辻

「ポストにチラシを入れる」という1つの動作だけとってみても、歴の長い人は圧倒的に効率がいいんです。

安田

ポストの蓋を開けてチラシを1枚入れるだけなのに、そんなに差が出るもんですか?


中辻

出ますよ。ベテランは動きに無駄がないんです。ちなみにウチのスタッフさんたちは、集合住宅のポストに無駄なくきれいにチラシを入れていくことを「残像」って言ってます(笑)。

安田

必殺ワザのような呼び方ですね(笑)。目にも留まらぬ速さで配っている様子が浮かびます。それは確かに初心者には難しそうですね。


中辻

ええ。あとは、地図を読むことに関しても、歴の差が大きく出ます。

安田

そうなんですか? 地図なんて普通に読んでその通りに行けば目的地にたどり着ける気がしますけど。


中辻

ポスティングは配布エリアが決まっているので、エリア内を一筆書きでまわるのが一番効率がいいんです。でも初心者は闇雲に歩き回って何度も同じ場所に行ったり、配り忘れる場所が出てしまう。

安田

ということは、会社側が配布コースを決めるわけではないんですか?


中辻

もちろん相談されたら伝えますが、指定はしていません。何よりベテランのスタッフさん自らがこだわって考えたルートの方が、実際に効率がいいんです。経験を重ねる中で様々なノウハウを得て、それを駆使したすごいルートで配ってくれるので。

安田

ははぁ、なるほど。ということは「このエリアの達人!」みたいな方もいるんですか?


中辻

いますいます(笑)。そういう方は、地図をもらったらすぐに「ここは絶対配布する物件」「このルートで回る」とガンガン書き込みを始めます(笑)。

安田

奥が深いんですねえ。「地図もらってそこにチラシ入れてくだけじゃないの?」なんて思っていた自分が恥ずかしい(笑)。


中辻

特にウチのスタッフさんたちは、優秀な方が多いんだと思います。ただ配るだけじゃなくて、私たちと一緒に反響を上げていく努力をしてくれるので。

安田

なるほどなぁ。だから中辻さんの会社にはどんどんノウハウが蓄積されると。結果、やる気以外の部分は責任持って教えることができる。


中辻

そういうことです。根気強さがあり、創意工夫を楽しんでくれるような方なら、優秀なスタッフさんに育てる自信がありますね。

安田

もし中辻さんが「日本ポスティングセンター」を全国展開するとしたら、各地域の「エリアマスター」みたいな人をいかに仲間にしていくか、というのがカギになりそうですね(笑)。


中辻

そうですね(笑)。こういう話をしだしたら、明日の朝までかかりますよ(笑)。

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

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1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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