第50回 人生を成功させる秘訣は「複雑さを味わうこと」

この対談について

人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。

第50回 人生を成功させる秘訣は「複雑さを味わうこと」

安田

以前藤原さんがメルマガか何かに「人生の大切なことは複雑さの中にある」と書かれていて、印象に残っているんです。それを読んだ時にふと、「味覚と似ているな」と感じたんですよね。


藤原

ほほう、なんだかおもしろそうな視点ですね。どういうことですか?

安田

例えば高級なワインって、ただ甘いとか酸っぱいだけじゃなく、いろんな味が絡み合ってるじゃないですか。その複雑さこそが人に「美味しい」という感覚を抱かせるんじゃないでしょうか。で、人生にもそれに似た豊かさがあるんじゃないかと思いまして。


藤原

ははぁ、なるほど。確かに人生の「味わい」とワインの味わいは通じるものがあるかもしれませんね。料理全般にも言えることだと思いますけれど。

安田

確かに確かに。一流のシェフはその複雑さを見抜くセンスを持っているんでしょう。「ここで少し苦味を加えるともっと美味しくなる」ということがわかるから、すごく複雑な味わいの料理を作ることができる。カレーを作っていて、絶妙なタイミングでコーヒーを入れるとか(笑)。


藤原

ああ、なるほど(笑)。確かにそれができるのが味覚のプロなんでしょう。そう考えると、単純な味が好きだという人はちょっと味オンチってことになりますか?

安田

そうなりますかねぇ。実際、やたら辛いとかやたら甘いみたいに一辺倒な人っていますもんね(笑)。人生も同じで、複雑な部分の大切さがわかってる人が「一流」のような気がするんです。


藤原

同感です。今私たちが生きている世界って、本当にいろんなものが絡み合って成り立っている。その複雑さにこそ人生のおもしろさがあるわけで、なんでも単純化してしまうのはナンセンスな気がして。

安田

それで言うと、「失敗の要因」って単純化しやすいと思うんです。何か一つが決定的に欠けていると、確実にうまくいかないということがある。私が自分で会社を潰した経験から言うんですけれど。


藤原

なるほどなるほど。確かに失敗は再現性が高いですね。それに比べて、「成功の要因」はけっこう複雑かもしれない。

安田

そうなんです。例えば仕事で成功した人とまったく同じ手順でやっても、全然うまくいかなかったりするじゃないですか。「人生の豊かさ」もそれと似ていて、成功者の人生を一生懸命真似ても意味がないと言うか。


藤原

そもそも「何を幸せと感じるか」は人によりますしね。お金があって美人の奥さんがいて、子どもが健康でも、全然幸せじゃない人もいるかもしれない(笑)。

安田

そうそう(笑)。そう考えると、物事の成功も豊かさも、やっぱり本質は複雑さの中にあるような気がして。


藤原

なるほどなぁ。単純さ=わかりやすさに逃げてしまいがちなんだけど、それをせず複雑さに向き合った人だけが、成功も豊かさも得られるのかもしれません。

安田

まさにそう思うんですよ。簡単な方に逃げたくなる気持ちは誰もが持ってますから、言うほど簡単なことではないんですけど。


藤原

そうなんですよね。だからこそ「これだけやればいい!」みたいなビジネス本や成功法則が世の中にはあふれている。みんな成功や豊かさを単純化してほしいんですよ。

安田

その気持ちももちろんわかりますけどね。ただ、先ほども出たように、そもそも「幸せ」というもの自体が単純じゃない。有名になってお金がたくさん稼げるようになったら、一旦は幸せと感じるかもしれない。でもそれが何年も続いたら、それはただの日常になってしまって、幸せは感じられなくなってしまうかもしれない。


藤原

本当にそう思います。逆に全然お金もなくて、全然有名じゃないのに毎日本当に幸せそうな人もいる(笑)。自分にとって何が成功なのか、何が幸せなのかを考え続けることが大事なんでしょうね。

安田

確かに確かに。単純化された幸せの定義に逃げずに、自分なりの幸せに向き合うと。でもそれって意外と些細なことだったりするんですよね。つまり「自分にとっての幸せ」に気づける人って、すごく繊細なんだと言えるかもしれない。


藤原

そうかもしれませんね。幸せの感じ方もそうですし、あるいは影響の受け方もそうなのかもしれない。自分を形作ってきたものは、意外と些細なことだったりして。

安田

ああ、そうかもしれません。今の自分を作っている要素というと、履歴書に書くような「〇〇大学を出た」とか「部活でキャプテンをやった」とかが挙げられますけど、本当に影響を受けたことってもっと細かい部分でしょうしね。


藤原

そうなんですよね。自分でもはっきり記憶していないくらいの小さなきっかけが、頭の片隅にに残っていたりするんでしょう。

安田

誰かと話したほんの数分のできごととか、本の中のたった1行の文章とかね。やっぱり「神は細部に宿る」と言いますし、細部にこだわる人ほど、豊かさや成功に近づけるのかもしれませんね。


藤原

きっとそういうことなんでしょうね。人生の複雑さを楽しむことが、成功や幸せの鍵なのかもしれません。

 


対談している二人

藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表

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1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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