第52回 8人限定の友達に共通する「ないもの」とは?

この対談について

人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。

第52回 8人限定の友達に共通する「ないもの」とは?


藤原

今日は私から安田さんに聞いてみたいことがあって。以前安田さんが「友達は8人と決めている」と聞いてから、僕はどうだろうと考えてみたんです。そしたら8人もいないかもしれないなと(笑)。

安田

あら、そうなんですね(笑)。


藤原

仲良くお付き合いしている人はたくさんいるんです。でも彼らは果たして「友達」なんだろうかと。そもそも「友達の定義」って何だろうと思いましてね。

安田

ああ、私もそれについては、けっこう長く考えてますね。境目研究家として「友達と親友の境目」についても考えましたし。…とはいえ、いまだに明確な答えは出てないんですけど(笑)


藤原

へぇ、安田さんでも答えが出ないこともあるんですね。

安田

いやいや、答えの出ないことだらけですよ(笑)。で、辞書で「親友」を調べてみたんですけど、「特に親しい友達」としか書いてないんです。「その<特に親しい>の定義が知りたいのに」と思ったんですけど(笑)。


藤原

本当ですね。もはや何も言ってないのと同じな気がします(笑)。

安田

ですよね(笑)。でも友達の多い人って、わりとすぐに「こいつは親友なんだ」みたいに言いません? 以前も「安田さんは俺の親友だから」と言ってくれる社長さんがいたんですけど、よくよく聞いてみたらその上に「大親友」がいるらしくて。なんだその程度かと(笑)。


藤原

呼び方が違うだけのような気もしますね(笑)。

安田

そうそう。そこから私は「親友」を作るのをやめたんです。だって、友達をランク付けするみたいで嫌じゃないですか。


藤原

ああ、なるほど。わかる気がします。安田さんの中では「友達」とそれ以外というわけですね。ちなみにその「友達」の共通項ってあるんですか?

安田

「何の理由もなく定期的に会う」というところですかねぇ。誰かに会う時って、「勉強になる」とか「ホッとする」とか何かしらの理由があるじゃないですか。そういうのがなくても会う人を友達というのかなと。


藤原

納得感があります。会うメリットが特にないのに、「なんとなく」定期的に会う人。

安田

そうそう。最低でも1~2年に1回くらいは会ってないと、友達というカテゴリーからは外れるかもしれません。


藤原

なるほどなぁ。なんとなく年に1回くらいはご飯を食べるような関係。腐れ縁みたいなものですね。

安田

そうそう。存在でいうと、家族に近いかもしれませんね。奥さんとか子どもとかと一緒で、好きとか嫌いとかを超越したポジションのような感じです。


藤原

ふむふむ。ちなみに友達と一緒に仕事をしたりもするんですか?

安田

以前仕事の付き合いがあった人もいますけど、進行形ではないですね。一緒に仕事をすると、どうしても「仕事のパートナー」になってしまうので。仕事抜きで会って、そのたびに「毎回進展のない話をしているな」というやりとりをするのが友達です(笑)。


藤原

なるほどなるほど。「なんでそんなに会ってるの?」と誰かに聞かれても、「友達だから」としか答えようがないですね。その定義に当てはめると、僕はやっぱり8人も友達がいない気がします(笑)。

安田

友達の定義は人それぞれですから(笑)。私の場合は誘われたら気軽に行くし、気軽に断るような相手ですね。それでもその関係が続いていくというような。


藤原

ああ、そうか。忙しかったら無理に会わないし、断ったことを気にする関係でもないと。でも安田さんは友達だと思っていないのに、相手は友達として接してくる場合もありませんか。

安田

ありますあります。まぁでも、先ほどの「親友だらけの社長さん」もそうですけど、それは向こうの自由なので。逆に私が友達だと思っていても、向こうは友達だと思ってない場合もあるでしょうし。


藤原

ははぁ、そうかそうか。どちらかの一方通行でもいいわけですね。

安田

いいと思いますよ。昔はもっと崇高に「友達は特別な存在だ」なんて捉えてましたけど、年齢とともに定義も変化してきて。今では「空気のような存在」なんじゃないかと思うようになりました。


藤原

なるほど。つまり普段意識していないけど、ないと困るということですね。

安田

まさにそういうことです。さらにいうと、「友達」になるには時間がかかりますよね。突然なれるわけじゃない。私、「星の王子さま」に出てくる「友達の話」が大好きなんです。

藤原

ああ…キツネの出てくるシーンでしたっけ?

安田

そうですそうです。キツネと王子さまが友達になるくだりがあるんですよね。王子さまは遠い星から友達を探しに来ていて、キツネに友達になってほしいと言うんです。でもキツネは「いきなりはなれない」という。

藤原

ああ、そうでしたね。そこで毎日同じ時間に会うことにしたんですよね。

安田

そうそう。で、何度も繰り返し会ううちに、その子が現れないと「どうしたんだろう?」と心配になるようになる。その時には他の子とは違う存在になっていて、そうやって友達は作られていくという。


藤原

いいシーンですよね。王子さまにとっても、そのキツネは他のキツネとは違う特別な存在になっている。…なるほどなぁ、つまり友達になるには必要なプロセスがあるわけですね。そう考えると、不思議と何人かの顔と名前が浮かんできました。

安田

それが藤原さんにとっての「友達」なんでしょうね。

藤原

そうですね。家族のようでいて、尊敬できる部分もあって、他愛もないことで笑い合える相手……いやぁ、友達って奥が深いですね(笑)。


対談している二人

藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表

Twitter

1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

Twitter  Facebook

1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

感想・著者への質問はこちらから