第57回 老いていく日本を変える「リッチな友蔵」のすすめ

この対談について

人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。

第57回 老いていく日本を変える「リッチな友蔵」のすすめ

安田

今日は「国家が年を取ること」ということについて、ぜひ藤原さんと話してみたくて。国民の平均年齢が上がってきて、その実感が湧く場面も増えてきましたよね。


藤原

そうですね。私はむしろ東南アジアなんかに行くとそれを感じるんですよ。向こうはエネルギーが満ちていて活気がある。これから若い世代が国を成長させていくんだろうなと、明るい希望が湧いてくるんですけど。

安田

そうなんですよね。日本はその逆で、これからますます若い世代は減り、老人ばかりが増えていく。ただ、この未来はもう変えようがないわけで、いっそ老化を前提に考えるべきじゃないかと思ったりもするんです。


藤原

確かに、これから出生率を急激に上げるのは難しいでしょうしね。だったら国全体が老人化していく未来を受け入れて、新たな価値観を生み出すほうが前向きかもしれません。

安田

そもそも出生率を上げようとすること自体に違和感があるんですよ。そうやって無理やり国の平均年齢を下げようとするのって、なんだか歳を取ったおじさんが無理に若作りしている感じがして(笑)。


藤原

なるほど(笑)。確かに無理に若作りするより、「老いを楽しむ」ことができている人の方が素敵ですもんね。

安田

まさにそうなんですよ。私自身もだいぶ年齢を重ねてきて、見た目の若さより、いかに充実した毎日を過ごすか、という方に関心は移っている。これ、国家にも同じことが言えると思うんです。若作りに執着するより、高齢者がワクワクできる社会に切り替えた方がいい。


藤原

同感です。それに、その転換は若者にもいい影響があると思っていて。年を重ねても働ける仕組みが整えば、若い人だけに負担を強いることも減るわけで。

安田

まさにそうなんですよ。高齢者がもっと元気に働いてお金を生み出すようになれば、1人の若者が何人も老人を支える、なんてことにもならないわけで。国全体の生産性も上がって、1人あたりの負担も減る。いいことづくめですよ。


藤原

自分が社会に貢献できている実感が持てれば、高齢者自身の気持ちもハッピーになると思うんですよ。「年金で暮らしていけるだろうか」とビクビクするより、ずっと豊かな毎日が送れますよ。

安田

絶対そうですよね。ケネディ元大統領の演説に「国があなたに何をしてくれるかではなく、あなたが国に何をできるかだ」という言葉がありましたよね。あれで当時のアメリカ国民の心は焚きつけられたわけですけど、今の日本の高齢化社会にも通じるメッセージだと思います。


藤原

まさにまさに。政治家やリーダーも、そういう発信をもっとした方がいいですよね。

安田

「老人よ、ワクワク稼ごう!」みたいなね(笑)。


藤原

いいですねぇ(笑)。「高齢者が国を支える側に回るほうが面白いんだ」というビジョンを示してほしいです。とはいえそれが浸透するには、「働く=我慢すること」という固定観念を壊す必要があるのかもしれませんけれど。

安田

元を辿ればその感覚が問題なんでしょうね。好きなことを仕事にしていれば、年を取ってもずっと楽しめますし、収入源にもなる。そう考える高齢者が増えれば社会は自然と変わっていく気もします。


藤原

いきなり全員が同じマインドにはなれないでしょうけど、まずは楽しんで働いている高齢者が背中を見せることが大切ですよね。「むしろ年金が余るほど稼いでますよ」っていう人が増えれば、雰囲気も変わるはずです。

安田

ちびまる子ちゃんの友蔵さんみたいなおじいちゃんが、実はフリーランスで年収1000万円稼いでいるなんてことがあったら面白いですよね(笑)。孫にお小遣いを渡すだけじゃなく、社会からも必要とされているって、本当にカッコいい。


藤原

いや〜、そんなおじいちゃんがいたら憧れちゃいますよ。若い世代にも夢を与えられますし、国全体も元気になる。

安田

皆で「リッチな友蔵さん」を目指したらいいんじゃないですかね(笑)。


藤原

それ、いいですね(笑)! ボリュームゾーンが高齢者になる今こそ、当事者意識を持ってもらうのが大事ですから。

安田

我々が若造だったら、「俺たちをいつまで働かせるつもりだ!」なんて高齢者に言われそうですけど、我々もその世代になりましたから、喜んで働くところを見せたいですよね。

 


対談している二人

藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表

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1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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