人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第67回 平均年収3000万円を目指します

藤原さんのメルマガで、「社員の平均年収を3000万円にする」という目標をお見かけして驚いたんですが、これは本気なんでしょうか?

アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)の授業料免除のニュースはご存知です? 出身家庭の年収が20万ドル以下だと、その学生は授業料免除されるらしいんです。ここで私が注目したのはその金額設定で、つまり年収20万ドルは貧困層とは言わないまでも、少なくとも富裕層ではないってことです。

そういうことです。うちのスタッフが子どもをMITに入れたいと思った時に、授業料を免除されないくらいの収入にしてあげないとな、と。それに日本もやがては、年収3000万円が富裕層ではなくなっていくと思いますし。

ふ〜む、なるほど。実際日本でも、「年収1000万円」と聞けば以前はすごいエリートみたいに言われましたけど、今は税金も社会保険料もめちゃくちゃ高いから、そんなに楽じゃないんですよね。子ども2人を私立の大学に行かせるのも難しいんじゃないですか?

そうそう。日本国内を見渡しても、大企業では平均年収2000万円に近づいてるところも出てきてます。課長や部長クラスなら3000万円を超えているケースも全然ある。そう考えると、そこを目指さないわけにはいかないなと。

なるほど、その意思表明だったわけですね。でも平均で3000万円って相当高いですよ。年収が高いことで有名なキーエンスですら2000万円に届いていないですし。しかも相当ハードな働き方をしてそれくらいなわけじゃないですか。

そうですよね。ES(従業員満足度)を掲げていらっしゃる藤原さんですから。だからこそ、年収3000万円なんてどう実現するんだろうと。

なるほど(笑)。私も日本人の年収の中央値を1000万円にするっていう目標を掲げてますけど、1000万円は結構現実的な数字だと思ってるんです。でも3000万円となると、難易度は100倍くらい違うような気がして。

確かに額だけ考えたら仰る通りだと思うんですが、個人的には安田さんの目標の方がずっとチャレンジングな気がします。自分の会社の社員だけ変えるのと、日本全体を変えるのって、それこそ100倍以上の差があるような。

そこが「組織の面白さ」みたいなところでもありますよね。1人だったら1000万円しか稼げないけど、組織の一部を担うことで3000万円の収入が可能になる。もちろん、それが実現できるような組織設計が必要ですし、そもそも稼げるビジネスを生み出さないといけませんから、決して簡単ではないと思うんですけど。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。