人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第71回 日本人の「信じやすさ」は武器かリスクか

そうそう。有名人やマスメディアの言葉をそのまま信じる人もいるし、一方で「有名人は嘘を言っているんだ」と陰謀論に傾く人もいる。どちらも「自分の頭で考えてない」という点では似ているようにも思いますが。

例えばいまテレビが一斉に「プーチンは実は良い人だった」という報道を始めたら、それはそれで鵜呑みにしてしまう人も出てくるかもしれない。そんな0:100の単純な話じゃなくて、どちらにも良い所もあれば悪いところもある。戦争で「どちらが100%正しい」なんて、そもそもあるわけないんですから。

経営でも同じ構図がありますよね。もともと現場で働いてた人が社長になった途端、従業員の気持ちがわからなくなったりする。社員時代は自分も「決まった給料で決まった仕事だけやれば十分」と思っていたのに、立場が変わったら「給料以上に働かないでどうする!」となってしまう。

あるあるですよね。もちろん人間は感情の生き物ですから、気持ちとしては理解できるんですけどね。でもだからこそ、「相手の立場から見ることができているか?」を常に意識していないと。…結局、それができる人とできない人の差ってなんなんでしょうね。

与えられた情報に疑問を持つかどうかが重要な気がします。それは個人レベルでも国レベルでも同じで。例えば歴史の教科書に載っているのは、勝者にとって有利な情報ばかりです。それを鵜呑みにして、原爆を落とされたことも、いまだに基地があることにも疑問を持たずに、「アメリカは正義だ」と考えてしまう。

わかります。ただそういう話をすると、「だったらアメリカと敵対して中国やロシアのようになりたいのか」っていう極論が返ってきたりするんですよね。でもアメリカだって他の国だって、一つの国だけでは成立しないわけで。

本当にそうですよね。どの国も単独では存在できないから、バランスを見ながら立ち位置を変えざるを得ない。日本もアメリカに敗戦したことで、当時の世界秩序の中で新しい立場を受け入れるしかなかったわけで。

ああ、確かに。柔道や剣道も、いまはスポーツとして復活していますけど、戦後すぐは「危険な思想を育むものだ」としてアメリカに警戒されていた。武道の精神みたいなものも、一度途切れてしまった感じがしますよね。

そうかもしれません。経済界や政界のトップも、アメリカの意向に沿った人たちが多かった。A級戦犯として捕らえられていたはずが、アメリカに従うことで赦免され、トップに立った人たちが現実にいるわけです。そういう歴史も知っておかなきゃいけない。

確かに。アメリカが日本と同じようにイラクやアフガニスタンを占領しようとして、ことごとく失敗してましたもんね。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。