第94回 他人の評価軸から「自由」になる方法

この対談について

人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。

第94回 他人の評価軸から「自由」になる方法

安田

以前、藤原さんのメルマガで拝見した言葉が、すごく印象に残っているんです。「転んだこと自体が痛いのではなく、その姿を人に見られることが痛いのだ」というような。


藤原

ああ、書きましたね。失敗そのものよりも、それによって自分の評価が下がったり、誰かに笑われたりすることが「痛み」なのだと。

安田

なるほどなぁと思ったんですよ。テストで0点を取ることが問題なのではなくて、それを誰かに見られて「ダメなやつだ」と思われるのが嫌だ、ということなんですよね。


藤原

そうそう。あるいは自分自身が「0点を取るなんて価値がない」と思い込んでいるケースもありますね。心の底から「0点がなんだ!別にいいじゃないか!」と思えている人なら、0点はただの事実に過ぎないわけで。

安田

本当にそう思います。でも自分が自分を許せなくなる時も、結局は他人の目を気にしているんだと思いますよ。無人島で一人でゲームをして失敗しても、自分を責めたりはしないでしょうから(笑)。


藤原

ああ、確かに(笑)。

安田

社会というコミュニティの中で、「自分のポジションをよくしたい」という気持ちが自分を苦しめている。結局、すべては人間関係の問題に行き着くのではないかと思うんです。


藤原

仕事だって結局は人間関係で成り立ってますもんね。人の役に立って、初めてお金がもらえるわけですから。

安田

仰るとおりですね。他人を無視して生きることはできない。


藤原

ええ。とはいえ、すべての評価を他人に委ねるのも違うと思うんです。すべての人に認められる必要はないわけですから、「誰の評価を気にして、誰の評価は気にしないのか」を自分で選択することが大事なんだろうなと。

安田

同感です。でも子どもの頃ってそれが難しいんですよね。親や学校の先生みたいな、ごく近しい大人の価値観に思い切り影響されてしまう。


藤原

そうですねぇ。そういう意味では私は親には恵まれましたね。学校の評価は散々だったのに、たっぷり愛情を注いでもらえたので。

安田

私も同じような感じでした(笑)。


藤原

そもそも勉強に興味がなかったんですよね。だから悪い点を取って先生に何を言われても、別にどうでもよかったというか(笑)。

安田

まったく同感です(笑)。私も学校の評価は著しく低かったですが、テストで0点を取っても、クラスで隠したりした記憶がないですから。親から「それは恥ずかしいことだ」と言われた経験が一度もなかったからでしょうね。


藤原

ああ、ウチもそういう感じでした(笑)。

安田

でも一般的には「0点なんて恥ずかしい!」っていう親の方が多いんじゃないですかね。恥ずかしいとは言わないまでも、心配したり悲しんだりするのが普通なのかも。そしてそういう反応も別に悪意から出ているわけじゃないじゃないですか。


藤原

確かに。良かれと思ってやっている親も多そうですしね。そういう環境にいる子は、どう抜け出せばいいんでしょうね。家以外のコミュニティを見つけることは一つの方法ではあるでしょうけど。

安田

ああ、確かにそうですね。自分の居場所を複数持つのは大事ですよね。

藤原

自分が心から好きだと思える人、心地よいと感じられる仲間との付き合いを深める。外の世界には、勉強ができなくても、スポーツが苦手でも、ありのままの自分を認めてくれる人が必ずいますから。

安田

本当ですね。ともあれ、世の中には悪い人も大勢いるじゃないですか。耳障りのいい事を言って騙そうとしたり。まぁそういう経験も勉強になりますけどね。

藤原

そうそう。結局はいろんな人と付き合って、時には失敗したり痛い目に遭ったりしながら、人を見る目を養っていくしかないんでしょう。悔しい思いや恥ずかしい経験も、後で考えればすごく大事な糧だったりしますから。

安田

誰と付き合い、誰の意見を大事にするか。そのセンスを磨くことこそ、人生の重要なテーマの一つかもしれませんね。それができれば、どんな状況でも幸せに生きていける気がします。

 


対談している二人

藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表

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1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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