動物と人間の顔の構造を比べたとき、
もっとも違うところのひとつが
「白目の有無」
だそうです。
人間の目は白目がむき出しに
なっているのに対して、
ほとんどの動物が瞳だけ見えているか、
場合によっては
白目にあたる部分が瞳と同じに
着色されていたりします。
たしかに、動物にも白目があるにしても
普段から見えることはないし、
三白眼の動物っていないですよね。
動物の目に白目がないのは、
目線の方向を隠すためだそうです。
草食動物などは、
どちらを見ているかがバレてしまうと
自分を狙っている対象に
死角を教えてしまうことになるため、
黒目がちな目になるというわけです。
一方、
人間は視線の方向をあえて強調して、
自分が何を注視しているかを
周囲に能動的に訴えかけ、
目が口ほどに物をいうことで
コミュニケーションを強めている
というわけです。
白目の存在は
他の動物を狩るか狩られるかという
自然界の全員参加バトルから
とっとと卒業して、
同種相手のバトルに専念している
人間ならではの特性といえるのでしょう。
よく、人の会話においては
口に出して発言された内容の重要度は
意外に低い、とされます。
実際は、コミュニケーションの受け手は
発した側の身振りや様子、雰囲気など、
「言外にある情報」をよりどころにして
その中身を判断しているのだといいます。
ちゃんと相手の目を見て話しなさいとか、
目を直視するとちょいキツい感じするから
むしろアゴあたりが見るのが
いいんじゃないかとか、
細かいことがあれこれいわれるのは
その効果が大きいからです。
しかし、視線がどこに向いているのかを
示すのは、元をたどれば瞳ではなく
白目のありかなわけです。
何を喋っているのかという言葉より
それ以外の周辺情報が重要であることは、
何を見ているのかという情報より
白目で何を見ていないのか、
という周辺情報が重要であることに
ある意味通じるのではないでしょうか。
まあ、今日び、
近所のお医者さんはどこに行っても
白目すら向けないで、
PCに向かいっぱなしで
会話してきますけど……