その23 裸でごめんなさい

何年か前から、相撲を愛好しています。
年に数回、国技館に赴いたりもしています。

もともと相撲観戦はごくごく一部のセレブリティを除いて
かろうじて横綱の名前を知っているくらいのおじさんたちが
取り組みそっちのけにマス席に自前の居酒屋をオープンしたかのごとく、
焼き鳥を食らい、お手頃価格の日本酒をかっくらい、
土俵の結びころには真っ赤な顔で船をこいでいる、
そんな感じの庶民の娯楽であります。

また、非常に多いのがフォリナーです。
観光客なのか在住者なのかはわかりませんが、
自分ごときがおこがましくも申し上げますと
正直日本で見る価値のある、
彼彼女らに紹介して恥ずかしくない
数少ないエキジビションといえましょう。

数年前は東京開催の指定席チケットは当然のように売り切れ、
自由席という最廉価の先着順の席を求める早朝からの行列がありました。

それもコロナですっかり様変わり、
飲食店と同じく少し緩和がなされても
なかなか客入りが元通りとはいかないようです。
それもそのはずでこの2年間は
フォリナーは入ってくることもままなりません(でした)し、
会場は4人キャパのマス席は斜めに2人がけ、
イス席はひとつ空けの座席指定で会話もままならず、
なにより水分補給以外の席での飲食が禁止などといわれては
居酒屋気分のおじさまは何のために行くのだと思うことでしょう。

もともとはそんなようなエンタメですので、
現状は相撲自体が好きでないとやや楽しみづらいのは事実ですが、
しかし土俵の上における本質は
時代が流れても
面子が入れ替わっても
満員のときもコロナで無観客開催のときも
変わることのないものなのです。

国技だということで
なにかと伝統や格式を謳ってみたり、
時にはそれがトラブルを生み
目ざとい世間の耳目を集めたりしてもいますが、
その中心で行なわれているのは
「すごく太った、鍛えた、ほぼ全裸の男二人がぶつかる」
というプリミティブな事象であります。

それは
通りすがりの観光客が理解できると同時に、
すれっからした老人客にも読み解きを必要とさせる
奥行きを持っているのです。

ちなみに今は、横綱が負けたのを見て
帰るついでに座布団を投げたら障害罪で捕まっちまうかもしれません。ほんとに。

 

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著者自己紹介

「ぐぐっても名前が出てこない人」、略してGGです。フツーのサラリーマン。キャリアもフツー。

リーマン20年のキャリアを3ヶ月分に集約し、フツーだけど濃度はまあまあすごいエッセンスをご提供するカリキュラム、「グッドゴーイング」を制作中です。

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