10年ほど前にふと思い立って減量したことがございます。
アスリートでもなんでもない市井のオッサンですので
やる必要などもちろんなかったのですが、
ただ体脂肪率がひと桁になったら
身体がどんな風に変化するのだろうという好奇心で、
食事のカロリー管理を徹底して、あとは自転車にばかり乗っておりました。
自転車のカロリー消費効率は運動の種類の中では高い方で、
またスポーツ感覚でやっていると長時間化して
気づいたら半日、一日中乗ってしまうこともあります。
競技者はもちろん、趣味レベルでも多少は消化のいい甘いものなどの
エネルギーを摂取しながら動く必要があるくらい、カロリーを使います。
ほとんどの時間が陽光の下の活動で日焼けは不可避ですので
審美的なダイエット目的にはちょっと難しいですが、
減量にはかなり相性のいい運動でした。
2、3ヶ月して体重はハタチのころと同じくらいまで下がり、
体脂肪率も9%になりました。
筋トレをしていたわけではないので
筋肉の起伏は微々たるものですが、腹部の「割れ」も確認できます。
自己満足でしかありませんが
一応目指すところまでやりとげたということで、
プロジェクトも無事終了だ、写真を一枚だけ撮って終わろうと服を脱ぎ、
意気揚々と鏡を見たところ、
そこには栄養失調としか思えない、しなびたおじさんがおりました。
体重などの数的スペックだけは若いときと同じにもかかわらず、
腕はいつの間に?ってくらい細くなっているし、
腹の皮には起伏とは別物の「横線」が入っているし、
ああー、これ、ダメだわ。笑えないダメな感じだわ。
自己満足にもならないわ。
と、以後は冷静な判断のもとに自然に10キロ以上肥えて
フツーのおっさん体型に戻りました。
太ったのはほとんど胴体ですが
不思議なもので、何もしていなくても腕もなんとなく筋肉が戻って
スーパーの買い物袋を持つのが楽になりました。
そしてあの瞬間気づいたことがあります。それは自分についてではありません。
若者の美しさの本質とは何かに気づいたのです。
若者はただそこにいるだけで美しい。
即物的ですが、それは肌の美しさのことなのです。
正直、わたくしは長く生きるほどに
愛も勇気も友達も失っていくだけで、
若さだとかお金だとか社会的認知の方が
より絶対的な価値あるものに思えてなりませんあんぱんまん。