その98 120%

先日、「コロナぶり」(←一度使ってみたかった)にやったことがありました。

まあ「リアル」のビジネスセミナーに行っただけなのですが、
参加したセミナーの対象がフツーの人向け一般総合ジャンルだったため、
人数が以前と比較してあきらかに少ないこと以外、
これまた当然なのですが
コンテンツも昔とあまり変わらぬ懐かしさすら感じるものでした。

成果に通じる思考とアクションをするためには
上流で定められた目標をロジカルに分解し、具体化し、
各自の行動に落とし込むとか、そんなようなことです。
例題として出る目標が「営業成績前年比120%」だったりするのも
懐かしさを感じるというか、これ永遠に変わらないんだなたぶん。と思います。

ところで、この「前年比120%」ですが、
新卒のころの気持ちを(ある意味)保っているわたくしの場合、
「なぜ120%なのか?」
という疑問が心の中を一度は通り過ぎて行くものです。

マトモな大人の皆さんだったらいうまでもないことは承知しております。

会社という企業体が社会で存続しつづけていくだけでも成長は必要であり、
組織の構成、固定費、あれこれといった要素を加味して計算した結果
ある営業グループに渡された予算が120%であった、という
それは結論であり、渡された側が考えることではないということを。

しかし、そこについても
個人レベルのそもそも論でいってしまえば話は違ってしまいます。
すなわち、
「自分の給料にはべつにそんなにリンクしてないやん」
という、だらしない本音ではありますが否定できないファクトです。

当然設計されているであろう人事評価が働いていても、
個別の人間関係や数字のアテにしていた案件の客先状況などといった
「しょうもない次元の、かつ、なによりも強力な要素」
が営業結果をボロクソにしたとて、だから不可抗力だったとはなりません。
会社員は会社という建築現場のネジですが、
ネジはネジ個体の品質ではなく
その場で役に立ったサイズだったことに評価が与えられるものです。

一兵卒からすれば、
これまで歩合型にもジョブ型にも変容できなかった日本社会において、
シゴトの本体を頑張るよりも
上司と友好関係を築くことに力を入れた方がよっぽど点数が上がるし、
会社がつぶれない限り生活給は得られるという
昭和以来の伝統である「ネジたちの生活の知恵」が、
脈々と再生産される構造になっているのです。

そして、その構造を乗り越えるための現代的な試みが雇用形態の変革であったり、
スタートアップを自認する企業でみられる
ミッションビジョンなどの企業内「文化」の共有と、
それを組織末端まで浸透させようと図ることだったりするのでしょう。

……まあ、企業内「文化」についてはぶっちゃけ、

「自分らが社会の役に立ちますってストーリー、
前年比120%のストーリーと何が違うん?」

と、分不相応ながら思ってしまいますけどねえ。

 

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著者自己紹介

「ぐぐっても名前が出てこない人」、略してGGです。フツーのサラリーマン。キャリアもフツー。

リーマン20年のキャリアを3ヶ月分に集約し、フツーだけど濃度はまあまあすごいエッセンスをご提供するカリキュラム、「グッドゴーイング」を制作中です。

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