【GlobalPicks/vol.145】ロックダウン中の購買傾向「シリーズ コロナ後の世界(No.7)」

GlobalPicks 〜海外の情報を読み解いて、ビジネスに付加価値を投薬する方法〜 著者:小出 紘道


今週から、「シリーズコロナ後の世界(No.7)」として、JP Morgan(JPモルガン)のサイトから「COVID19によって消費者の購買行動がどのように変わったのか?」についての記事を読み込んでます。テーマとしては先週までと同様です。

How COVID-19 Has Transformed Consumer Spending Habits 
(いかにCOVID19が消費者の購買行動を変容させたのか?)
https://www.jpmorgan.com/solutions/cib/research/covid-spending-habits

JP Morganもいくつかの興味深いチャートを掲載しているので、一つずつ読み込んで行きます。

Life in Lockdown: What Did Consumers Buy?
(ロックダウン中の生活で、消費者は何を買ったのか?)

ロックダウン中に買ったものとして、大きな変動があったカテゴリーが下記のチャートに掲載されています。

U.S. market growth across staple categories
主要カテゴリにおけるUS市場の成長率

JP Marganの解説がこちら

“In the data earlier this year, you could see flat growth followed by a huge spike — double digit growth. That is very rare for this industry and was totally prompted by the lockdown and the fact that people couldn’t get out,”

今年前半のデータで、比較的フラットな経済成長の後に急激な上昇(2桁増)のspike(グラフの山)が来ていることが分かります。この現象はこうした産業ではとても珍しいことで、明らかにロックダウンによって引き起こされた現象と言えます。

4つの成長カテゴリが掲載されていて、それぞれ「Health&Personal care(ヘルス&パーソナルケア)」「Food(食品)」「Spirits(お酒)」「Beer(ビール)」がロックダウン下で急激に成長していることが分かります。

個人的なツッコミどころとしては、「Spirits(お酒)」と「Beer(ビール)」が別の産業として分析されていることですね(笑)
お酒を飲まない私からすると、丸っと「アルコール市場」なんですけど、明確な意思を持って2つに分割されているように見えます。。。
ちなみに英単語という意味ではSpiritsはお酒の中でも「蒸留酒」のカテゴリを意味します。なのでアルコール度数の高いお酒(Sprits)と、アルコール度数の低いビール(Beer)は「別モノ」ということですかね。

さて、コロナ禍で「アルコール市場」が随分と「確変期」を迎えているように見えます。もちろん「してのアルコール消費が減った分家庭での消費が増えているだけだ」という側面もあると思います。
とは言え、このデータが「メーカー荷量ベース」で適切に算されているのであれば、やっぱりJP Morganが言うように消費者の行動が「よりアルコールを消費するように変容した」ということだと思います。

コロナ禍がもたらしたことが「よりアルコールを摂取する欧米世界への変容」だとすると、変化するのは「消費行動」だけではないかもしれません。欧米は「よりアルコールを摂取する世界」へ向かい、イスラムは「もともとアルコールの摂取が非常に少ない世界」ですから、2つの世界の間の「アルコールGAP」がさらに広がるのではないでしょうか?

昔(1996~97くらいだと記憶していますが)サミュエル=ハンチントン教授の「文明の衝突」という難しい本が流行りました。その後に起きる「9/11のテロ」を読み解く最重要文献です。
COVID19は「文明の衝突」を加速させるのか? 原因は今回はアルコールGAPの拡大なのか?

はい。。。調子に乗って「陰謀論」めいた結論に流れ着いてしまいました(汗)

最後に「いつか役に立つかも英単語」として「陰謀論」を取り上げます。

conspiracy theory(コンスパイラシー・セオリー):陰謀論

ちなみに、conspiracy theory自体のwikiの解説は

ある来事や状況に対する説明のことであり、他にもっともらしい説明があるにも関わらず、邪悪で強力な集団や人物による陰謀や謀略が関与しているとするものである。

です。

お気をつけくださいw


「本コラムと、本業ビジネスとの関係」(著者・小出紘道より)

本業ビジネスでは「マーケティング&戦略コンサル」の仕事と、「高付加価値情報提供サービス」の仕事をしています。本コラムは後者の「高付加価値情報提供サービス」の初級編としての入り口となればいいな、と思ってます。世界の誰かが”既にかなり研究したり、結論を出している”にも関わらず”日本では流通していない数値情報や文字情報”がたくさんあります。それらの情報を、日本のマーケットにフィットするように編集・分析すれば「競合他社」や「競合他者」を出し抜ける可能性が高まります。法人向けのサービスとなっていますので、詳細はFace to Faceでお伝えしますね。

著者情報


小出紘道 (HIROMICHI KOIDE)
◆株式会社シタシオン ストラテジックパートナーズ 代表取締役社長 http://citation-sp.co.jp
◆株式会社シタシオンジャパン 取締役会長 http://www.citation.co.jp
◆株式会社 イー・ファルコン 取締役 http://www.e-falcon.co.jp
<いわゆる経歴>
・2000年 株式会社東京個別指導学院に新卒で入社して、11ヶ月だけ働いてみた(→早めに飽きた) ・2001年 イギリスに行って、University of Londonで経済と国際関係を学んだり、Heriot-Watt Universityで経営学(MBA)をやってみた(→めちゃくちゃ勉強した)。この間に、イギリス人の友人とロンドンで会社を作ってみた(→イマイチだった) ・2003年 シタシオンジャパン社でマーケティングをやり始めてみた(→ろくにエクセルも使えなかった) ・2007年 シタシオンジャパン社の代表取締役社長になって経営をやってみた(→やってみてよかった) ・2018年 シタシオンジャパン社の社長を仲間に託し、引き続き会長としてコミットしつつも、シタシオンストラテジックパートナーズ社を設立してみた(→今ここ)
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